基本情報技術者試験とは?難易度や合格率、勉強時間を徹底解説
IT業界で多くの人が取得を目指す、「基本情報技術者試験」。この試験は、IT業界の登竜門とも言われており、実際の業務に必要な基礎知識が幅広く問われる国家資格の1つです。
本記事では、基本情報技術者試験の概要、試験の仕様、難易度、合格率について解説します。さらに、合格に必要な勉強時間、取得するメリット、受験時の注意点などについてもお伝えします。
これからIT業界で働きたいと考えている方、ITに関する基礎的な知識を身につけたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
基本情報技術者試験とは?

基本情報技術者試験とは、プログラマーやエンジニアなどIT業界で働く人を対象とした国家試験で「FE」(Fundamental Engineer)と略されます。
日本ではデジタル人材が不足しており、その確保が今後の経済成長の鍵となっています。そのため、基本情報技術者試験を国家資格とすることで人材確保の後押しをしているとも考えられています。
基本情報技術者試験はIT関連の専門資格の登竜門とも言え、その学習内容を踏まえて上位の資格取得を目指す人も少なくありません。
2023年4月に新制度へ移行
基本情報技術者試験は2023年4月から新制度に移行しました。
新制度と旧制度では、以下のように変更されました。
旧制度 | 新制度 | |
---|---|---|
試験実施期間 | 上期・下期の一定期間 | 随時 |
受験可能回数 | 2回/年 | 申し込み済み試験の終了時刻を過ぎた時点で再申し込みが可能 |
採点方式 | 素点方式(1問につき1点の配点) | IRT方式(受験者全体の回答結果により配点が変わる) |
出題形式 | 午前試験:150分 午後試験:150分 | 科目A:90分 科目B:100分 |
合格基準 | 600点/1,000満点(試験ごと) | 600点/1,000満点(科目ごと) |
試験内容
基本情報技術者試験では、科目Aと科目Bで以下の分野の知識が問われます。
科目A | ・テクノロジ系(情報処理) ・マネジメント系 ・ストラテジ系(経営・会計) |
科目B | ・アルゴリズム(グラフや整列など) ・プログラミング(既存プログラムの解読やプログラムのテストなど) ・情報セキュリティ(脆弱性管理など) |
科目Aではテクノロジ系が5割、残りの半分をマネジメント系とストラテジ系が占めています。科目Bではアルゴリズムとプログラミングが8割、情報セキュリティが2割の割合で出題されます。
科目Aの出題数は60問で、すべて4択問題です。ITの基礎知識に加え、マネジメント系やストラテジ系の知識も求められるため、幅広い分野を理解し、覚えておく必要があります。
科目Bは長文読解を含む多肢選択式の問題が20問出題されます。出題範囲はプログラミングやアルゴリズムが中心で、加えて情報セキュリティの知識も問われるため、実践的な理解が求められます。
基本情報技術者試験の難易度

基本情報技術者試験は「ITパスポート試験」と「応用情報技術者試験」の中間に位置する難易度で、専門的な資格の中では基礎的な部類に相当します。
ITパスポート試験は社会人として誰もが身につけておくべき基礎的な知識を問う国家試験です。業界や業種を問わず多くの社会人がITリテラシーや情報セキュリティの習得のために活用しています。
一方、応用情報技術者試験は基本情報技術者試験の内容を基礎として、より高度で応用的な知識や技術を問う国家試験です。IT業界でのレベルアップをしたい多くの人が取得を目指します。
基本情報技術者試験は、ITパスポート試験よりは専門的であるものの、応用情報技術者試験のような応用的な知識や技術は求められず、IT業界で必要な基礎知識を問われる試験です。

出典:試験区分一覧 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
このように基本情報技術者試験は、情報処理技術者の資格の中で最も基礎的な位置づけにあり、さまざまな上位資格への基盤になる重要な資格です。
ITスキル標準(ITSS)
基本情報技術者試験は、ITスキル標準(ITSS)においてレベル2に位置づけられています。
ITスキル標準のレベル2は情報処理推進機構(IPA)により「上位者の指導の下に、要求された作業を担当します。プロフェッショナルとなるために必要な基本的知識・技能を有する。スキル開発においては、自らのキャリアパス実現に向けて積極的なスキルの研鑽が求められます。」と表現されています。
IT系の国家資格については「IT系国家資格おすすめ12選!難易度や合格率を分野別に解説」でも紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
基本情報技術者試験の合格率

基本情報技術者試験の合格率、受験資格、試験日、申し込み方法について詳しく紹介します。
合格率
令和5年、6年の基本情報技術者試験の合格率は以下の通りです。
実施年 | 合格率 |
---|---|
令和5年 | 47.1% |
令和6年 | 41.9% |
合格率は平均して45%程度ですが、きちんと勉強してから臨めば合格を目指せる試験と言えるでしょう。
受験資格
基本情報技術者試験には特別な受験資格は設けられていなく、年齢や学歴、職業などに関係なく、どなたでも受験可能です。
情報処理推進機構(IPA)によると、この試験は「ITを活用したサービスや製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」を対象としています。
試験日
基本情報技術者試験はCBT(Computer Based Testing)方式で実施されており、年間を通じて随時受験可能です。受験者は自身の都合に合わせて試験日時や試験会場を選択できます。
申し込み方法
申し込みは、情報処理推進機構(IPA)公式サイトから行えます。まず、利用者IDを取得し、その後、オンラインで受験を予約します。
詳しくは公式サイト記載の「受験の流れ」をチェックしてください。
基本情報技術者試験の勉強時間の目安

基本情報技術者試験に合格するための勉強時間は、受験者のIT知識や経験によって異なります。一般的にIT初心者は約200時間、IT関連の知識や経験がある方は約50時間の学習が目安とされています。
知識や経験の有無によって必要な学習時間は大きく変わるため、ここではIT初心者と経験者に分けて解説します。
初心者の場合
文系出身やIT業界で働いたことがない方などは、情報処理の基礎から学ぶ必要があるため、約200時間の学習時間を確保することが推奨されます。
学習内容が多岐にわたるため、計画的な学習と自己管理が求められます。
経験者の場合
情報系の学校出身やIT業界での経験がある方などは、既にIT関連の基礎知識を持っているため、約50時間の学習で合格を目指せるでしょう。
ただし、自分の知識を過信せずに試験範囲を十分に確認し、対策を行うことをおすすめします。
基本情報技術者試験を受けるメリット

基本情報技術者試験に合格することで以下のようなメリットがあります。
- 上位資格取得のための基礎固めができる
- 就職活動や転職活動でアピールできる
- 実際の仕事で役立つ
それぞれ詳しく解説します。
上位資格取得のための基礎固めができる
基本情報技術者試験はIT関連資格の基礎知識を問う試験で、応用情報技術者試験などの上位資格取得のための基盤を築くことができます。
ITに関する幅広い基礎知識を身につけるきっかけにもなるため、IT業界で働く上で職種を問わず取得して損はないでしょう。
就職活動や転職活動でアピールできる
基本情報技術者試験の合格は、IT業界への就職や転職活動においてアピールポイントとなります。IT未経験であっても、ITに関する前向きな姿勢を示すことができ、企業によっては資格取得者を優遇する場合もあります。
資格は客観的な評価にも繋がるため、自己PRなどの根拠としても活用できます。
実際の仕事で役立つ
基本情報技術者試験を通して得た知識やスキルは、仕事をしていくなかでも役立ちます。
例えば、IT用語の理解が深まるだけでも、同僚や上司とのコミュニケーションが円滑になり、業務をスムーズに進めることができます。
このように試験で得た知識を実際の仕事でも活かせることも大きなメリットです。
基本情報技術者試験を受ける際の注意点

基本情報技術者試験を受験する場合、以下の3点に注意してください。
- 学習範囲が広いため事前にしっかり勉強する
- アルゴリズムとプログラミングは苦戦しやすい
- 受験当日は時間に余裕を持って行動する
それぞれ詳しく解説します。
学習範囲が広いため事前にしっかり勉強する
基本情報技術者試験はIT全般に関わる幅広い知識が問われるため、事前に計画的な学習を行わなければ、合格は難しいでしょう。特に科目A試験はテクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系といった幅広い分野から出題されます。
学習の際は過去問や例題を解きながら、必要な知識を効率的に身につけることが重要です。
アルゴリズムとプログラミングは苦戦しやすい
科目B試験は「アルゴリズム」、「プログラミング」、「情報セキュリティ」から出題されます。特にアルゴリズムとプログラミングは、IT初心者にとって難易度が高く、暗記だけでは解けない問題が含まれています。
この試験に対する学習は問題数よりも質を意識し、用語などの暗記に加え、内容を理解してアウトプットできるようにしてください。
この分野は苦手とする人が多い反面、解答できれば大きく得点を伸ばせるため、合格への鍵となります。
受験当日は時間に余裕を持って行動する
基本情報技術者試験は通年試験化により随時受験が可能となりましたが、試験会場には試験開始時刻の15分前には集合しなければならず、遅刻すると受験できなくなります。遅くとも試験開始の30分前には会場に到着しておくと安心です。
事前に集合時刻や会場の場所をきちんと確認し、余裕を持って行動しましょう。
基本情報技術者試験に関するよくある質問

基本情報技術者試験はどんな人におすすめ?
基本情報技術者試験は、IT業界への就職や転職を希望している方や、IT業界での経験が浅い方におすすめです。
また、IT関連の基礎知識全般を体系的に習得したい方にも役立つでしょう。
受験者の年齢層は幅広く、20〜30代が多いものの、中高生や60代以上の方も受験しています。
受験資格が設けられていないため、年齢や職種を問わず、受験を希望する方が受験できます。
基本情報技術者試験の勉強法は?独学が可能?
基本情報技術者試験の勉強は、独学でも可能です。専門書やWebコンテンツなどを活用して、自分で計画的に学習してみましょう。
ただし、学習内容が広範囲に及ぶため通信制大学やスクールなどを利用することで、より効率的に学習を進めることができます。
経済的な理由や時間の制約などで通信制大学やスクールに通うのが難しい場合は、「基本情報技術者試験の独学勉強法を解説!学習のポイントや最短合格のための方法も紹介」で独学での勉強方法も紹介しているので参考にしてください。
基本情報技術者試験の取得を目指すなら、開志創造大学 情報デザイン学部(仮称・設置構想中)
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情報デザイン学部(仮称・設置構想中)での学びの中で、情報に関する最先端の知識や技術を身につけることができるので、今回の記事で取り上げた「基本情報技術者試験」も目指せるレベルになります。独学で勉強するとなると、専門用語などが覚えにくいことやアルゴリズムなどの取り組みにくい分野も本学部で学ぶことにより、順を追って知識をつけることができるので安心です。
基本情報技術者試験の合格を目指したい方や、将来に活かせるIT・デジタルスキルを身につけたい方は、開志創造大学 情報デザイン学部(仮称・設置構想中)がおすすめです!
まとめ

基本情報技術者試験は、プログラマーやエンジニアなどIT業界で働く人を対象とした国家試験で、多くのIT関連資格の基盤となる基本知識が問われます。
2023年から新制度に移行し、随時受験が可能になった他、試験時間の短縮などの変更が行われたことにより、以前よりも受験しやすい仕様になっています。
基本情報技術者試験はプログラミングやアルゴリズムなどのIT分野に限らず、経営・会計などのストラテジ系、脆弱性管理などの情報セキュリティなど、幅広い分野から出題されるのが特徴です。
事前の勉強はIT初心者であれば、200時間程度の勉強時間を確保する必要があるため、計画的な学習や自己管理能力が求められます。
決して高難易度の試験ではないものの、全く勉強せずに合格するのは難しいため、しっかり勉強してから試験に臨みましょう。
基本情報技術者試験の勉強は独学でも可能ですが、より効率よく学習するなら通信制大学やスクールで勉強するのがおすすめです。
自分に合った方法で基本情報技術者試験を受験し、IT業界で役立つ知識を身につけましょう。