ビジネスモデルとは?種類と事例、作り方を紹介
ビジネスの仕組みを指す用語である「ビジネスモデル」。「新たなビジネスモデル」というような文言を見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか?
本記事では、ビジネスモデルとは何か、作成方法、作成のメリット、構成要素などを解説しつつ、ビジネスモデルの例や事例も紹介します。
ビジネスモデルの基本、重要性、作り方などについて知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ビジネスモデルとは何か
ビジネスモデルとは、「そのビジネスによって、誰に、何を、どうやって、付加価値を提供し、収益を得るのか」を示したビジネスの仕組みを指します。
ビジネスモデルは事業を成功に導く鍵となるため、あらゆる企業はビジネスモデルの構築に力を注いでいます。
ビジネスモデルが普及した背景
ビジネスモデルという言葉は、1980年代初頭に金融・証券業界で現れた情報システムに関する「ビジネスモデル特許」が始まりと言われています。
そして、1990年代にはITが急速に発展し、ITを活用した新たなビジネスの仕組みが多く生まれました。
中でもプライスライン・ドットコムの「リバースオークション」やアマゾンドットコムの「ワンクリック」のように、ビジネスモデルを特許として権利化する企業が出てきたことで、ビジネスモデルそのものに大きな注目が集まるようになりました。
ビジネスモデルの作成方法
ビジネスモデルを作成する際は、以下の3ステップで進めましょう。
- 業界を分析する
- アイディアを洗い出す
- 実現可能なアイディアを選ぶ
各ステップについて詳しく解説します。ビジネスモデルを作成するときの参考にしてください。
ステップ①業界分析
まずは業界を分析します。既存のビジネスモデルについて理解することは、新たなビジネスモデルを作成するための参考になります。特に、よく採用されているビジネスモデルについて分析することで、競合他社がそのビジネスモデルを使うメリットや背景についてよく理解することができます。
既存のビジネスモデルをベースに、発展・応用的なビジネスモデルの構築も可能でしょう。
新たなビジネスモデルの作成には、現在の業界について詳しく分析し理解することが大切です。
ステップ②アイディア出し
次に、アイディア出しをします。多くのアイディアを出すことが重要なステップであるため、この時点では「それはできないだろう」と切り捨てることはしません。
アイディアを集める方法には、チーム内でのブレインストーミング(※)や社内公募などがあります。
さまざまな方法で多くのアイディアを出し、新たなビジネスモデルのヒントを探りましょう。
※ブレインストーミングとは、複数人で自由にアイディアを出し合う集団発想法のことで、日本では「ブレスト」と略されることもある
ステップ③アイディアの実現
集めたアイディアから実現可能なものに絞り込み、アイディアを洗練させます。
そのアイディアが技術面、体制面、資金面で実現可能であれば、ビジネスモデルの作成に向けて動き出します。
ただし、ビジネスモデルを作成するときは、参入障壁について考えなければいけません。参入障壁とは、新規参入企業が市場に参入する際に直面する困難や制約のことを指します。
新しいビジネスモデルを構築する際には、他社が真似しにくいことや、競合が少ない分野などについて十分に考慮する必要があります。
参入障壁が高いほど、そのビジネスモデルを独占しやすくなるため、競争優位性を確保できるようになります。
ビジネスモデルを作成するメリット
企業がビジネスモデルを作成することには、以下のようなメリットがあります。
- 事業についてより深く理解できる
- 事業内容に関する話題を共有しやすくなる
- 事業が抱える問題を見つけやすくなる
- 事業の原点に立ち返ることができる
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
事業への理解が深まる
ビジネスモデルを構築するためには、自社の事業について正しく理解する必要があります。
事業の全体像、強みと弱み、特徴、競合他社との差別化など、さまざまな視点から自社を分析することで自社の事業に関する理解を深められるでしょう。
話題の共有ができる
ビジネスモデルを作るときは「どのようなビジネスモデルがあるか」「事業の強みを最大限まで引き出すには、どのようなビジネスモデルが良いか」などについてチームや関係者と議論します。
事業内容に関する話題を共有する機会になるほか、チームや関係者同士の意見交換にもなります。
さらに、社内のコミュニケーションを活発化するきっかけになることも期待できます。
問題を発見しやすい
ビジネスモデルを作る際には収益構造を体系化し、その構造の問題点を明らかにする必要があります。これにより事業が抱える問題を見つけやすくします。
問題点を特定すれば、その解決方法が新たなビジネスモデルの構築に繋がるだけではなく、自社の生産性向上や効率化などにも役立つ可能性があります。
原点に立ち返れる
ビジネスモデルは「事業の設計図」とも言われ、時代とともに変化するため、見直しや改善などがおこなわれます。
また、トラブルや課題に直面したとき、当初の設計図に立ち返ることで事業の方向性を再認識できる可能性があります。
ビジネスモデルの構成要素
ビジネスモデルを構成する要素は、以下の4つです。
- Who:顧客は誰か
- What:顧客に何を提供するのか
- How:どのように提供するのか
- Why:なぜそれが利益になるのか
4つの構成要素を理解することで、ビジネスモデルの構築に役立てられます。各要素について、それぞれ詳しく解説します。
Who:顧客は誰か
1つめの構成要素は、「顧客は誰か」です。
自社が商品を提供する顧客は誰なのか、現在の顧客だけではなく、今後顧客になりうる潜在的な客層についても想定しましょう。
ビジネスモデルの構築において、企業や事業が顧客像を明確に設定することは欠かせない要素の1つです。
What:顧客に何を提供するのか
2つめの構成要素は、「顧客に何を提供するのか」です。
ビジネスモデルのターゲットとなる顧客像を設定したら、その顧客にどのような価値を提供するのかを考えましょう。
この価値について考える際、「商品やサービスに見合う価値」と「顧客の立場から見た価値」についてそれぞれ明確化するのが重要です。
顧客のニーズを満たせる価値を見いだしましょう。
How:どのように提供するのか
3つめの構成要素は、「どうやって提供するのか」です。
顧客に対してどのように価値を提供するのかは、ビジネスモデルにおいて重要なポイントです。いくら素晴らしい企業価値や事業価値であっても、顧客に届けられなければ意味がありません。
具体的には、価値をどのように顧客に認知してもらい、どのように顧客を集客し、どのように提供するのかを検討する必要があります。
Why:なぜそれが利益になるのか
4つめは、「なぜそれが利益になるのか」です。
いくら素晴らしい価値を顧客に提供できても、それが自社の利益に繋がらなければビジネスモデルとしては不完全です。
顧客に価値を提供する過程で、どのように利益を得るのかを考えなければなりません。
収益に繋げる方法や、収益を増やす方法についてもビジネスモデルの中に組み込みましょう。
ビジネスモデルの例
主なビジネスモデルの例を6つ紹介します。
- 販売・物販モデル
- 小売モデル
- 広告モデル
- 従量課金型モデル
- サブスクリプションモデル
- フリーミアムモデル
各モデルについて詳しく解説します。実際にビジネスモデルについて考えるときの参考にしてください。
販売・物販モデル
販売・物販モデルは、最もシンプルでクラシカルなビジネスモデルです。商品を作ったり加工したりして販売することで利益を得る方法を指します。
規模は関係なく、大手企業から個人まで利用できるビジネスモデルです。
しかし広く利用されているモデルのため、このモデルで成功するためには、他社に負けないように魅力的な商品を作り、市場で優位に立たなければなりません。
販売・物販モデルは、飲食店、メーカー、農家などで採用されています。
小売モデル
小売モデルは、売ることに特化しているビジネスモデルです。販売・物販モデルのようなモノづくりの工程がなく、商品は他社から調達します。
そのため、商品にオリジナリティを出すことが難しく、商品以外のところに付加価値を与え、差別化を図る必要があります。
小売モデルは、コンビニエンスストア、百貨店、スーパーマーケットなどで採用されています。
広告モデル
広告モデルは、商品やサービスを宣伝することで、その対価として掲載料を得るビジネスモデルです。多くの企業が持つ「消費者に認知されたい」というニーズに着目して生まれました。
従来は新聞、雑誌、テレビなどのメディア媒体が主流でしたが、インターネットやデジタルデバイスの普及に伴い、現在はSNSやWebサイトに広告を出す方法が増えつつあります。
その他、動画配信サービス「YouTube」で広告を出し、広告料を得るYouTuberという職業も広告モデルの一種です。
広告モデルは、各種メディア、情報媒体などで採用されています。
従量課金型モデル
従量課金型モデルは、使用量に応じて料金が発生するビジネスモデルです。
顧客が使用した分だけ料金を支払う仕組みになっているため、顧客は自ら使用量をコントロールすることができます。
従量課金型モデルは、電気、ガス、水道、携帯電話、タクシー料金などに採用されています。
サブスクリプションモデル
サブスクリプションモデルは、最近非常に注目されているビジネスモデルです。
毎月、毎年など一定期間で商品やサービスを提供し、ユーザーに定額料金を支払ってもらうことで収益を得ています。継続的に安定して利用料を得られるというメリットがある反面、気軽に解約されやすいというデメリットもあります。
そのため、ユーザーのニーズを常にリサーチし、満足度の高いサービスを提供し続ける必要があるでしょう。
サブスクリプションモデルは、動画配信サービス、音楽ダウンロードサービス、洋服レンタル、レンタカーなどで採用されています。
フリーミアムモデル
フリーミアムモデルは、「フリー」と「プレミアム」を組み合わせた造語です。最初に無料(=フリー)で顧客の注目を惹きつけた後、有料ビジネスへと発展させるビジネスモデルを指します。
フリーミアムモデルの例として、新聞のオンライン記事が挙げられます。途中までは無料で記事を閲覧できるものの、それ以降を読むには有料版の購読が必要になる場合です。
フリーミアムモデルは、オンラインストレージサービスやオンラインゲームなどで採用されています。
ビジネスモデルの成功事例3選
ビジネスモデルの代表的な成功事例3選を紹介します。
- Googleの広告モデル
- Netflixのサブスクリプションモデル
- 俺のフレンチの物販モデル
それぞれ詳しく紹介します。具体的な成功事例として、ビジネスモデルの参考にしてください。
Googleの広告モデル
Googleの広告モデルは、最も有名とも言えるビジネスモデルの成功事例です。
どのような仕組みを構築すればより多くのユーザーが喜ぶのか、利用者を増やせるのかに重点を置くことで成功したと考えられています。
Googleの広告モデルは、基本無料でサービスを提供しつつ広告掲載によって利益を得るビジネスモデルです。
YouTubeの動画視聴に広告を付けたり、Webサイト内にPRを掲載したりするのが広告モデルに当てはまります。
Netflixのサブスクリプションモデル
Netflixのサブスクリプションモデルは、全世界でシェアを広げる代表的な成功事例です。
徹底したパーソナライズ化が成功の鍵であると考えられています。Netflixでは、同じ傾向の評価や意見を持つユーザーの好みを分析し、個々のユーザーが好むコンテンツの提案をおこなっています。
既存の映像コンテンツに加え、Netflixオリジナルのコンテンツも配信することでグローバルに拡大し続けている、代表的なサブスクリプションモデルです。
俺のフレンチの物販モデル
俺のフレンチの物販モデルは、競合の多い販売・物販モデルの中で成功した例です。
美味しいフレンチを安く美味しく食べたいという顧客のニーズを追及し、コストを抑えつつ質の高い料理を提供することに注力したことが成功の理由と考えられます。
店舗面積を小さくして回転率を上げ、高い原価率を達成させるという発想を実践し、成功を収めたビジネスモデルです。
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まとめ
ビジネスモデルとは、「そのビジネスによって、誰に、何を、どうやって、付加価値を提供し、収益を得るのか」を盛り込んだビジネスの仕組みです。企業は事業の成功や収益アップのために、ビジネスモデルの構築に力を注いでいます。
ビジネスモデルを作るためには、業界分析、アイディア出し、アイディアの実現などのステップを踏む必要があります。各ステップで十分な時間と労力をかけ、自社の収益に繋がるビジネスモデルを作りましょう。
ビジネスモデルを構成する要素は4つあり、「Who」「What」「How」「Why」をそれぞれ掘り下げていくことでより良いビジネスモデルを構築できます。
また、自社でビジネスモデルを作成すると、事業への理解が深まる、話題の共有ができる、問題を発見しやすい、原点に立ち返れるといったメリットがあります。ビジネスモデルの作成には、副次的なメリットもあるため真剣に取り組んでください。
本記事では代表的なビジネスモデルの具体例を紹介しました。自社で新たなビジネスモデルを構築する際は、本記事で紹介したような既存のビジネスモデルをリサーチし、特に成功した事例については詳しく理解することが大切です。
成功するビジネスモデルを作成し、自社の収益アップを目指しましょう!