Pythonで何ができるの?得意分野・苦手分野や活用事例、勉強法などを解説!
プログラミング初心者にも人気の言語である「Python(パイソン)」。AIやブロックチェーン(※)など、将来性があることで注目されています。
Pythonは簡易的なプログラミングを得意とする言語で、アプリケーションソフトの作成ができます。
他のプログラム言語と比べ、文法がシンプルなため初心者でも習得しやすいことが特徴です。
本記事では、Pythonでできることや得意な分野、苦手な分野、実際の開発事例、Pythonを活かせる職種、将来性、学習法などを解説します。
どのプログラム言語を学ぼうか迷っている方、これからPythonを学ぼうと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
※ブロックチェーン:データをブロックと呼ばれる単位で分散して管理し、そのブロックを鎖のように繋げてデータを保管する技術や仕組みのこと
目次
Pythonでできることとは?
Pythonでできること・得意なこととして、以下が挙げられます。
- AI学習(機械学習、ディープラーニング)
- データ処理と分析
- データ収集
- ブロックチェーン
- Webサイトやアプリケーションの作成
- IoTや組み込みアプリケーションの作成
- 画像処理
- 業務効率化や自動化
初心者が最初に学ぶべきPythonの基礎については、「Python 初心者」で解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
AI学習(機械学習、ディープラーニング)
PythonにはAI(人工知能)の開発ができるライブラリ(※)が充実しているため、AIの分野での活用事例が多くあります。
例えば、ソフトバンク社の人型ロボット「Pepper」に搭載されている音声認識や行動機能開発はPythonによっておこなわれています。
近年注目され急成長しているAI分野の多くはPythonで開発されているため、最新の技術開発に興味がある方はまずPythonを学ぶと良いでしょう。
※ライブラリ:よく使われる関数や機能やコードなどをまとめて、再利用できるようにしたソフトウェアのこと
データ収集
Pythonは、ネット上の情報を自動で収集することができます。
ネットの情報を自動収集する方法は色々ありますが、代表的な手法は「Web API(※)」と「Webスクレイピング」の2つです。
※APIはApplication Programming Interfaceの略で、ソフトウェアやプログラムを連携させ、拡張させる機能のこと
「Web API」はインターネット上のAPIをプログラムから呼び出す技術です。自社サイトにGoogleマップやYouTubeの動画を表示させるような、他社サービスを組み込むことができます。
「Webスクレイピング」は取得したHTML(※)から、見出しや画像などの情報を抜き出す技術です。汎用性が高く、いいね数、記事一覧、口コミといった任意のデータを取得できます。
※HTML:Webサイトの文章や構成の指示を記載したもの
データ処理と分析
Pythonはデータ処理や分析も得意としており、集計、加工、描画といった作業も可能です。
高速な数値計算、演算、変換、分析、データの可視化、図の作成など、データ処理や管理に関する多くの処理ができます。
豊富なライブラリがあるのも、Pythonがデータ処理と分析に向いている理由の1つです。
ブロックチェーン
ブロックチェーンの開発には、Pythonが使われています。
ブロックチェーンとは、前述したように、データをブロックと呼ばれる単位で分散して管理し、そのブロックを鎖のように繋げてデータを保管する技術や仕組みのことです。現在、仮想通貨を中心に活用されています。
ブロックチェーン技術は、透明性、改ざんが困難であること、中央集権的な管理を不要とすることなどが魅力です。
そんなブロックチェーンの開発にもPythonは大変適しており、Pythonで使えるフレームワーク(※)やライブラリも多数提供されています。
※フレームワーク:アプリ開発などでよく利用される機能をパーツとして備えた枠組みのこと
Webサイトやアプリケーション
Webサイトやアプリケーションの作成も、Pythonの得意分野です。インターネット上で動くアプリケーションを作成したいなら、Pythonが向いているでしょう。
実際に、InstagramやYouTubeといったサイトがPythonで作られています。
IoTや組み込みアプリケーション
家電などに活用されているIoTや組み込みアプリケーションにも、Pythonが使われています。
スマートフォン、炊飯器、洗濯機、センサー、カメラなど、スマート家電の操作に用いられる技術でもPythonが活躍しています。
スマート家電が進化していく中で、Pythonは今後も活躍し続けるでしょう。
画像処理
画像処理が可能なOpenCV(※)などを用いると、Pythonでの画像処理が可能になります。画像を白黒にする二値化と呼ばれる処理や、特徴や輪郭を抽出するという作業が可能です。
※OpenCV:Open Source Computer Vision Libraryの略で、画像や動画に関する処理機能をまとめたもの
また数値計算を可能にするライブラリを組み合わせると、顧客識別やカテゴリの振り分けなどができるようになります。
業務効率化や自動化
Pythonのデータ処理は自動で行えるため、仕事において業務効率化が期待できます。
例えばExcelでのファイル読み込み、値の書き込み、シート作成といった作業、画像挿入やデータ集計、デザインの整理整頓などもPythonで自動化させることができます。
データ集計、データ処理、メール操作など、事務的な業務を自動化して効率化するのもPythonが得意な分野です。
Pythonの苦手・不得意な分野はある?
Pythonには多くの得意分野がありますが、以下のような苦手分野や不得意な分野もあります。
- 高速処理が必要なシステムの開発
- スマホアプリやゲームの開発
高速の処理
Pythonは、高速な処理が必要とされるシステムの開発が苦手です。
もともと処理速度が遅いPythonでは、基幹システム(※)などの高速処理が必要なシステム開発には不向きと考えられます。
高速処理が必要なシステムには、C++など処理速度の速い別の言語を使うのが一般的です。
※基幹システム:販売管理、在庫管理、会計など、企業がビジネス活動をするために必要な業務を効率化するシステム全般のこと。
スマホアプリやゲーム
Pythonは、スマホアプリやゲームの開発については苦手とされています。
ライブラリなどを用いて、スマホアプリやゲームを開発することは可能であるものの、他のプログラム言語のほうが適しているという理由からPythonはあまり用いられません。
スマホアプリやゲームの開発には、Java、Swift、Kotlin(コトリン)、C#(Unity)などを用いるのが一般的とされています。
Pythonを使って開発されたサービス事例
Pythonを使って、実際に開発されたサービス事例には以下のようなものがあります。
サービス | 概要 |
---|---|
YouTube | 世界最大級の動画共有サイト。検索、再生、アカウント管理等にPythonを使用。 |
Pepper | ソフトバンク社のヒト型ロボット。音声認識や行動機能開発にPythonを使用。 |
Dropbox | オンラインストレージサービス。機能のすべてをPythonで開発。 |
Bender | オープンソース3DCGソフトウェア。機能のすべてをPythonで開発。 |
有名なサービスやロボットにもPythonが活用されており、生活の中のさまざまな場所でPythonが活躍していることがわかります。
Pythonの知識・経験を活かせる職種
Pythonが活かせる職種には、以下のようなものがあります。
職種 | 概要 |
---|---|
AI、機械学習エンジニア | AIやIoTなどの先端ITの開発に携わる職種。将来的に、先端ITエンジニアには高い需要があると考えられる。 |
データサイエンティスト | さまざまなデータから情報を収集、分析する職種。手動では手間がかかることを、Pythonによって自動化、効率化する。 |
Webアプリケーションエンジニア | 大規模なWebアプリケーションの開発に携わる職種。今後Pythonによる開発の需要は高まると予測されている。 |
マーケター | さまざまなデータを活用し、自社製品を売るための仕組みを考える職種。Web上から市場動向、競合製品情報、顧客情報などを収集し、分析する。 |
各職種について、以下で詳しく解説します。
AI、機械学習エンジニア
先端ITと言われるAIや機械学習に携わる職種です。AIやIoTなどを扱える人材であり、今後ますます需要が高まることが考えられます。
AIやIoTはPythonの得意分野であり、機械学習やディープラーニングの開発にはPythonが欠かせません。将来性のある職種としても注目されており、これからPythonを学ぶなら目標に設定するのも良いでしょう。
データサイエンティスト
さまざまなデータから必要な情報を集め、分析する職種です。日本ではまだあまり浸透していない職種ではあるものの、欧米では既に人気の職種として認知されています。
データサイエンティストは、ユーザーの行動分析、Webサイトのアクセス解析といったデータ分析と解析をおこないます。必要なデータを抽出したり整理することは手動では手間と時間がかかりすぎるため、Pythonによる自動化や効率化が求められます。
Webアプリケーションエンジニア
大規模なWebアプリケーションの開発に携わる職種です。
Pythonで使えるWeb開発向けのフレームワークやライブラリを活用し、効率的にWebサイトやアプリケーションの開発をおこないます。
従来はPython以外のプログラム言語が用いられてきたWebサイトやアプリケーションも、最近ではフレームワークやライブラリが豊富なPythonが増えつつあります。
今後はPythonの需要が増加すると予想されており、Pythonを習得しておくことでWeb開発の分野で求められる人材となれるでしょう。
マーケター
マーケターのうち、特にWebマーケターにとってPythonの習得は重要です。Pythonでの効率化や自動化を用いて、マーケティング業務の生産性を向上させられるためです。
マーケターはさまざまなデータを活用しながら、自社製品が売れるための仕組みを考案します。Web上で市場動向、競合製品情報、顧客情報などを集め、分析することでより効果的な戦略を考えられるようになります。
Pythonのスクレイピングを用いれば、必要なデータを取集し分析する業務を自動化でき、業務効率を大幅にアップさせられるでしょう。
Pythonの将来性について
Pythonは先端ITで活用されていることや、データサイエンス分野で使われていること、Web開発分野でも徐々に使用率が高まってきていることなどから、将来性があると考えられます。
Webサイト上でどれだけ検索されているかでランク付けをしている、TIOBE Indexのランキングによれば、Pythonはプログラム言語の人気ランキングにおいて1位の常連です。2019年から現在まで1〜3位には入っており、今後も長く人気を維持できることが予測できます。
2019年からはビッグデータやAIがトレンドになった時期でもあり、比例して開発言語であるPythonの人気も上昇したと考えられます。
AIやIoT、データサイエンスなどは今後も発展していくと予測できるため、それに伴ってPythonの将来性も安泰であると言えるでしょう。
未経験からPythonを学習するおすすめの勉強法
未経験からPythonを学ぶ方法には、以下の4つがあります。
- 通信制大学に通う
- プログラミングスクールに通う
- Web上の学習コンテンツで学ぶ
- 書籍で学ぶ
自分に合った方法で、Pythonの知識やスキルを習得しましょう。
通信制大学に通う
通信制大学でITを学べるコースや学科を選べば、未経験からでもPythonを基礎から学ぶことができます。完全オンラインの通信制大学なら仕事や家事、子育てなどをしながらでも基礎から応用まで、実践的な内容を学べるのは大きな強みです。
また通信制大学ならPythonを学ぶだけではなく、IT全般の基礎を学ぶことも可能であるため資格取得なども並行して目指せることがメリットです。
ちなみに通信制大学は国に認可されている教育機関なので、卒業すれば大卒資格が取得できるのもメリットです。
プログラミングスクールに通う
プログラミングスクールでPythonを学ぶのもおすすめの学習方法です。既にIT基礎があるという場合や、Pythonを集中的に学びたいという場合はプログラミングスクールで学ぶのも良いでしょう。
プログラミングスクールでは分野を集中して学べる反面、その他の資格習得や大卒資格といったものは望めないのがデメリットです。
Pythonの他に習得済みのプログラム言語があったり、仕事でITの基礎を身につけていたりする場合、月数千円のプログラミングスクールはコストパフォーマンスが良いのでおすすめです。
Web上の学習コンテンツで学ぶ
独学でPythonを学びたい場合、Web上の学習コンテンツがおすすめです。
現在、プログラミングの学習に特化したコンテンツはWeb上に溢れています。学習用サイト、YouTubeの解説動画、情報共有掲示板など、独学でもPythonを学べる環境は整っています。
独学でお金をかけずPythonを学びたいなら、Web上の学習コンテンツを活用するのがおすすめです。
書籍で学ぶ
書籍を使った独学での学習も、Pythonを学ぶのにおすすめです。
自分に合ったレベルの書籍を選んで学べば、目次に沿って順序立てた学習ができます。Webコンテンツなどでは学習の順序を決められない方などは、書籍での学習のほうが良いでしょう。
ただし書籍での学習では疑問点などを自分で調べる必要があるので、Webコンテンツや掲示板などを上手く活用しながら学習するのがおすすめです。
ITを基礎から学ぶなら、開志創造大学 情報デザイン学部(仮称・設置構想中)
開志創造大学 情報デザイン学部(仮称・設置構想中)は完全オンラインで卒業できる通信制大学です。
一度も大学に通わずに、「学士(情報学)」の取得が可能です。
授業は1回15分のオンデマンド授業のため、場所を問わず、スキマ時間を活用して自由に学修を進めることができます。
初心者でもITを基礎から学べるカリキュラムのため、ITの知識がない方でも一から学ぶことができます。
Pythonを使用してデータ分析やWebアプリケーションを開発するカリキュラムも予定されています。その他のプログラミング言語も学んだり、学んだことを実践していくことで、高度なIT知識をつけたり、将来的にエンジニアやプログラマーを目指すことができます。
通信制大学なので、一人で学修を進められるか不安に思う方もいるかもしれませんが、サポート体制が充実していることや、分からないことがあった際にチャット形式でいつでも質問することができます。
独学で学修を進めようとすると、正しい知識を効率よく身につけることが難しいですが、開志創造大学 情報デザイン学部(仮称・設置構想中)では、一人ひとりの都合に合わせて専門的な知識を効率よく学ぶことができます。
年間学費は25万円なので、経済的負担を抑えながら、将来活かせるスキルを身につけたいという方におすすめです!
まとめ
PythonはAIやIoTなどの先端IT、データ収集、処理、分析、Webサイトやアプリケーション画像処理、業務自動化と効率化などを得意とするプログラミング言語です。幅広い分野で活用されているため、習得すれば仕事に活かせるシーンも多いでしょう。
実際、PythonはYouTubeやInstagramといった現在広く使われているメジャーなサービスやPepperのような先端ロボットにも活用されています。
AI、機械学習エンジニア、データサイエンティスト、Webアプリケーションエンジニア、マーケターなどを目指すなら、Pythonが役立つでしょう。
一方で、Pythonは高速処理が必要なシステムやスマホアプリやゲームには不向きです。自分のやりたい開発分野に合わせてPythonを習得するべきか検討してください。
今後もますます活躍の場が広がるであろうPythonは、通信制大学、プログラミングスクール、独学などで学習できます。自分に合ったやり方でPythonを習得し、IT化が進む社会で活躍できる人材を目指しましょう。