セキュリティ意識向上に必要なトレーニングは?重要性やリスク、具体的な方法を紹介
情報化社会で重要視されている情報セキュリティ。情報セキュリティにはシステムや機器の性能や脆弱性(ぜいじゃくせい)が大きく関わってきますが、一方でユーザー1人ひとりの意識も重要です。
本記事では、情報セキュリティに対する意識向上の重要性、意識が低いことによるリスク、意識向上の方法、具体的な施策、意識向上に適したタイミング、意識向上が必要とされる対象者などについて解説しています。
セキュリティ対策の意識向上について知りたい方、具体的な施策について考えたい方などは、ぜひ最後までご覧ください。
目次
そもそも情報セキュリティとは
情報セキュリティとは、企業や組織の情報を守ることを指します。
JIS Q 27002では「情報の機密性、安全性および可用性を維持すること」と定義されています。
社外秘の情報や顧客の個人情報などの情報資産を守るためにセキュリティソフトを導入したり、災害時への備えをしたり、情報の保護に繋がる行動はすべて情報セキュリティの施策と言えます。
情報セキュリティの基礎については「セキュリティ基礎」で詳しく触れているので、ぜひ併せてご覧ください。
セキュリティ意識向上の重要性
セキュリティ意識を向上させることは、サイバー攻撃から重要な情報を守ることに直結するため重要です。
日々巧妙になるサイバー攻撃に対処するには、情報を守る側も同じように対策を強化する必要があります。正しい知識のもと、適切な行動を意識し実行することで情報をきちんと守れるでしょう。
また、常にセキュリティ意識を高めておくことで人為的なミスなどで情報を漏洩してしまうような事態も避けられます。
サイバー攻撃などから情報を守ることやミスによる情報漏洩などを回避することに繋がるため、セキュリティ意識の向上は重要なのです。
セキュリティ意識がないことによるリスク
重要な情報の漏洩
情報セキュリティの意識が低いと、重要な情報を漏洩してしまうおそれがあります。
第三者に重要な情報を盗まれる、情報を紛失して他者の手に渡ってしまう、ウイルスに感染させてしまう、不正アクセスによる攻撃を受けてしまうなど、情報セキュリティの意識が低いために起こるリスクは数えきれません。
情報資産は、情報の重要度やリスクの頻度、影響などを適切に判断してきちんとセキュリティ対策をすることが大切です。
社会や顧客からの信用低下
情報漏洩は、社会や顧客からの信用を大きく下げる要因の1つです。
適切に情報を管理できない組織だと判断され、取引や契約を避けられてしまうリスクがあります。
情報漏洩は自社の情報だけではなく、他社や顧客の重要な情報資産にも関わります。
情報セキュリティの意識が低く、情報を漏洩してしまうことは社会的な信用を失うことに繋がるのです。
端末の乗っ取り
業務用のPCやスマートフォンなど、インターネットに接続できる端末は常に乗っ取られるリスクを抱えています。
端末を乗っ取られると、データを抜かれたり端末を経由して組織全体に被害を及ぼすことがあります。
社内にウイルスをばらまいたり、不正アクセスのための情報を抜き出したりなど、端末の乗っ取りによる危険は多岐にわたります。
金銭的被害
セキュリティ対策が甘いと、金銭的な被害が発生することがあります。
近年増加しているものでは、ランサムウェアという身代金要求が挙げられます。情報を暗号化し、解除と引き換えに組織に金銭を要求する手口の不正プログラムです。
重要な情報資産を盗まれた場合、組織は身代金の支払いに応じるしかないかもしれません。
しかし、身代金を支払っても暗号を解除してもらえないことの方が多いため、ランサムウェアに感染しない根本的な対策が重要です。
セキュリティ意識を向上させるには
情報セキュリティポリシーの作成
セキュリティ意識の向上に欠かせないのが、情報セキュリティポリシーの作成です。
情報セキュリティポリシーは、組織がどのように情報セキュリティを実施し、どのように運用するのかを定めるものです。
基本的な方針、対策の基準、実施の手順をそれぞれ明確に記し、共有することで組織内のセキュリティ意識を底上げします。
社内アカウントの正しい管理
各部署や個人ごとに、社内のアカウントを正しく管理しましょう。
業務内容によって必要な情報は異なるため、それぞれがアクセスできる範囲を定めたアカウントを作成して管理することが大切です。
情報の整理とともに、各情報にアクセスできるアカウントをきちんと管理することで、情報漏洩や故意の情報流出などのリスクから情報を守ることができます。
セキュリティ対策サービスの導入
セキュリティ対策サービスを導入することで、組織内のセキュリティ意識を向上させることができます。
セキュリティ対策サービスを用いた高度な情報セキュリティにより、閲覧者や編集履歴を残して、アクセスログを閲覧できるようにすれば、何か起きたときに怪しい人物を特定できます。
そもそも怪しい動きをしないこと、情報を盗もうとしないことを社員に意識させるのも、情報セキュリティの意識向上として有効です。
セキュリティ対策を外部に依頼する
情報セキュリティの意識が低い組織の場合、セキュリティ対策の立案や脆弱性の発見などができないため、外部の力を借りるのもおすすめです。
セキュリティ対策のプロに依頼することで、セキュリティ研修を実施したり適切なセキュリティ対策を立案してもらうことができたりします。
プロの視点と意見を活用することで、必要かつ有効なセキュリティ対策を実施できるでしょう。
プロの意見であれば、社員にとっても納得しやすく、その後の意識向上にも活かすことができます。
セキュリティ意識向上の具体的な施策
パスワードを管理する
社内で扱うさまざまなパスワードを、適切かつ厳重に管理しましょう。
情報資産にアクセスするために必要なパスワードは、第三者に盗まれた時点で多くの情報を手渡すことになってしまいます。
既存のパスワードは第三者に見られない場所に厳重に保管し、新規のパスワードは推測されにくくツールでも割り出しにくい文字列を用いるのが基本です。
また、パスワードは定期的に更新したり、使いまわしたりしないこともセキュリティ対策となります。
Eメールの送信方法を教育する
Eメールは、情報が外部に漏洩してしまう主要なルートの1つです。Eメールの送信方法や誤送信については、社内できちんと教育をおこなってください。
宛先が間違っていないか毎回確認するほか、CCとBCCの使い分けについてもしっかり教育しておきましょう。
ちなみに、CCは一斉送信したときに受信者が他者のメールアドレスを確認できるもので、BCCは一斉送信したときに受信者からは送信者以外のメールアドレスが確認できないものです。
情報を定期的にバックアップする
社内で保管している情報は、定期的にバックアップしましょう。
CD-RやDVD-R、USBなどの外付けHDD(※)や、オンラインストレージを利用して情報をバックアップしておくことで、情報喪失のリスクを最小限に抑えられます。
外付けHDDは、社外へ持ち出すことで紛失や盗難のリスクがあります。また安全が確保されていないWi-Fiからオンラインストレージへアクセスすると、Wi-Fiを介して第三者に情報を見られたり盗まれたりするリスクがあります。
バックアップした情報は厳重に保管し、外付けHDDは社外に持ち出さないことやオンラインストレージにはフリーWi-Fiなどから接続しないことなど、組織全体で共通認識を持つことも重要です。
※HDDとは、ハードディスクドライブの略で、磁気ディスク装置のこと。データの大量保存が可能
ウイルス対策をおこなう
ウイルス対策ソフトを導入することで、社内のネットワークを保護し情報を守ることができます。
ウイルス対策では、専用ソフトを端末にインストールしウイルス検知や除去を常におこなうことが挙げられます。
また、定期的なウイルススキャンを実施することで常に安全性の高い環境を整えることも重要です。
新規ファイルやダウンロードしたデータは毎回ウイルスチェックをおこなうなど、社員の行動を絡めた教育も実施するとさらにウイルス対策の効果を高められます。
安全な無線LANを確保する
テレワークなど、社外で仕事をする際は安全な無線LANを確保することを徹底しましょう。
公衆無線LAN(フリーWi-Fiなど)を利用する場合、通信内容を第三者に盗み取られてしまうことがあります。また、無線LANの中には第三者が悪意をもって設置したものもあるため、注意が必要です。
社外でインターネットに接続し、仕事をするときは必ずネットワークの安全と信頼性を確認するよう、社員に教育しましょう。
SNS利用について教育する
SNSの利用時には、情報流出に注意するよう教育しましょう。
不用意なSNS利用によって情報が流出してしまったり、企業のイメージダウンに繋がってしまったり、信用を失ってしまったりするリスクがあります。
各SNSの規約を守ることはもちろん、アカウント情報を適切に管理することなどの基本的な部分をきちんと抑えておきましょう。
SNS教育については、社員のモラルや情報に対する意識を研修などできちんと教育することが重要です。
セキュリティ意識向上を行う時期
セキュリティ意識の向上を狙った教育は、情報セキュリティポリシーの運用開始時や内容の改変時に合わせておこなうのがおすすめです。
また、自社や関連企業で情報漏洩などが起きたときは従業員のセキュリティ意識も高まりやすいため、有効な教育実施のタイミングであると言えます。
その他、新たに社員を採用したときの研修でセキュリティ対策に関する内容を伝えるのも有効的です。
適切なタイミングで社員へ教育を実施し、組織全体の情報セキュリティへの意識を向上させるよう努めましょう。
セキュリティ意識向上をおこなう対象
情報セキュリティの意識向上をおこなう対象は、役員からアルバイトまで、すべての従業員です。
ポジションによってアクセスできる情報は異なるものの、情報が流出するきっかけはどこに潜んでいるかわかりません。
いつ、どこで、誰が狙われるかわからないからこそ、組織ではポジションに関わらずすべての従業員が情報セキュリティの意識を向上させるべきなのです。
また、場合によっては提携先企業や業務委託先に対しても情報セキュリティ教育を実施する必要があります。
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情報学を学んでいくことになりますが、その基礎として重要になるのがセキュリティについての知識です。セキュリティの基礎知識や大切さを学ばずに、ITの技術面だけを磨いても、セキュリティの知識不足により情報漏洩やウイルス感染などが発生してしまう恐れがあります。
セキュリティ対策は必要だと分かっていても、具体的に何をすればセキュリティ対策になるのかなど、大学でしっかりと知識を身につけ、基礎を学んだうえで応用的に技術を磨いていきましょう。
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まとめ
情報化社会で重要とされる情報セキュリティは、組織全体の意識によって効果が大きく左右されます。
セキュリティ意識が低いと、情報漏洩や盗難、紛失、端末の乗っ取り、金銭的な被害など、さまざまなリスクを抱えることになります。
いつ、どこで情報が漏れてしまうかわからないため、すべての従業員が高い意識でセキュリティに関心を持って行動することが大切です。
情報管理、ウイルス対策、無線LANやSNSの利用方法など、情報セキュリティでは多くの内容を従業員に教育する必要があります。
素人ではすべてを正しく伝えることや納得させることが難しいこともあるかもしれません。そんなときは、セキュリティ対策のプロに研修や対策を依頼するのも手です。
本記事で解説した情報セキュリティの意識向上や具体的な対策を実施し、組織が持つ情報をきちんと守っていきましょう!