機械学習の活用事例とは?仕組みや身近な活用例をわかりやすく解説
AIが身近になりつつある現代社会では、機械学習もまた多くの場所で活用されています。
本記事では、機械学習とは何か、機械学習の活用が広がる背景、機械学習の学習方法を解説したうえで、機械学習の活用事例を紹介します。
機械学習について知りたい方、どのような場面で活用されているのか知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
機械学習とは?
機械学習とは、AI(人工知能)を構成する要素の一つです。コンピュータが膨大なデータから学習をおこない、ルールやパターンを見つけ出す手法を指します。
機械学習とともによく聞く用語に「ディープラーニング(深層学習)」があります。ディープラーニングは機械学習の手法の1つであり、画像認識や音声処理のAIなど、より高度な学習を必要とする分野で活用されています。
AIについて詳しく知りたいという方は「AIとは」も併せてご覧ください。
機械学習の活用が広がっている背景について
機械学習の活用が広がる背景には、以下のような理由が考えられます。
- 労働人口の減少が加速することが予想されているから
- 働き方改革が推進されているから
- 業務改善効果を実感している企業が増えているから
超高齢化社会に突入している日本では、今後ますます労働人口が減少すると予測されています。AIの機械学習を活用することで、人手不足を解消する狙いがあります。
また働き方改革の推進により、単純作業や時間のかかる業務をAIに任せ、人間は企画・商品開発などのクリエイティブな業務や新たな分野に集中するということも増えてきました。
実際に機械学習を活用した結果、業務改善効果を実感している企業が多いというのも、機械学習の活用が広がっている理由の1つです。
機械学習の学習方法は主に3つ
機械学習の学習方法は、主に3つです。
教師あり学習 | 正解を与えてAIに学習させる。 特定の入力に対して、正しい出力ができるようになる。 |
教師なし学習 | 正解を与えずにAIに学習させる。 大量のデータから自らデータ探索をおこない出力するようになる。 |
強化学習 | 正解を与えずにAIに学習させる。 AIが出力したデータに価値をつけることで、価値を最大化するためのアクションを実行するようになる。 |
機械学習を活用する際は、どのレベル・タイプの学習方法が適しているのかを考える必要があります。
機械学習の活用事例【教師あり学習編】
教師あり学習の機械学習の活用事例を3つ紹介します。
- 需要の予測
- 株価の予測
- 故障の予測・診断
需要の予測
過去のデータから、トレンドや市場の動向を分析して将来の需要について予測する作業です。
人の感覚に頼ってきた需要の予測を機械学習に任せることで、より正確で根拠のある予測が可能になります。
需要の予測データにもとづき店舗の在庫を最適化したり、シフトの調整をおこなったりといった対応ができるのがメリットです。
株価の予測
教師あり学習では、株価の予測も可能です。株価に限らず、価値が変動するものであれば外国為替などにも適用できます。
過去の価値変動をデータとして学習させ、将来の動きを予測させる作業です。
FX(外国為替証拠金取引)の自動売買ツールなどには、機械学習による教師あり学習が活用されています。
故障の予測・診断
過去の修理実績をもとに、故障の予測や診断をする作業です。
製品修理の分野において、機械学習を用いた故障の予測や診断をおこなうことでサービス全体の業務効率化や顧客満足度の向上といったメリットがあります。
機械学習の活用事例【教師なし学習編】
教師なし学習の機械学習の活用事例を3つ紹介します。
- マーケティング
- レコメンデーション
- 画像認識・画像生成
マーケティング
マーケティング分野では、ビッグデータの分析に機械学習が活用されています。
人間が予測もしなかったようなところから、価値のある情報を取得できることがあります。
例えば、アメリカのウォルマートで顧客の購買情報と物品販売量を分析した際、「おむつと同時に購入される商品で、最も多いのはビール」という事実が明らかになりました。
レコメンデーション
レコメンデーションとは、顧客に対しておすすめの情報を提供するサービスです。
ECサイトなどで「あなたにおすすめの商品」と表示される仕組みが主要な例として挙げられます。
顧客の購買意欲を引き上げ、売上増加のきっかけになる他、顧客にとっては「良い商品をおすすめしてくれた」という満足感を得られる可能性があります。
画像認識・画像生成
教師なし学習を用いた画像認識では、類似した画像を自動で分類することが可能です。
製造業の目視での検査を機械学習に移行することで、業務の効率化を可能にした事例があります。
また教師なし学習では画像生成も可能で、昔の白黒写真に色を補ったり、ピントが合っていない写真を修正したり、不十分な画像データから高品質な画像を生成することができます。
機械学習の活用事例【強化学習編】
強化学習の機械学習の活用事例を3つ紹介します。
- 自動運転
- ゲームプレイ
- 広告の最適化
自動運転
自動運転には、機械学習の強化学習が活用されています。
完全に人の手を離れた自動運転は実現されていないものの、脱線防止、追突防止、短時間・短距離の自動運転、ブレーキなどの機能は既に実装されています。
ゲームプレイ
AIにゲームをプレイさせる場合、強化学習を用いることで、複雑なゲームにも対応できるようになります。
「AlphaZero」という囲碁、チェス、将棋をプレイするAIは世界最強のソフトとして君臨しました。複雑なゲームプレイにおいて「もっとも勝率が高い一手」を算出することができるのです。
広告の最適化
広報の最適化とは、ユーザーの動向をデータとして蓄積し、最適な広告を表示することを指します。
レコメンド(※)やレビュー管理のサービスを提供する「ナビプラス」では、広告の最適化に強化学習を活用しています。
ナビプラスには、Webサイトの個別最適化をより進められるサービスがあります。
※レコメンドとは、IT業界ではユーザーのデータから関連商品やサービスを自動で表示してすすめる手法のこと
日常生活における機械学習の活用事例7選
日常生活においても、さまざまな場所で機械学習が活用されています。
- 農業の生産量予測
- アパレルの適切な店舗運営
- チャットボットによる問い合わせ
- コールセンターの自動化
- 医療支援
- 音楽認識アプリ
- 商品の自動認識
日常生活における機械学習の活用事例を紹介します。
農作物の生産量予測
農業分野では、気象データから収穫量や収穫時期を予測する機械学習が活用されています。
農作物の生産過程における無駄を省くことが主な目的です。また、収穫作業に必要となる人員を調整できたり、価格や需要から廃棄量を削減できたりすることにも繋がっています。
アパレルの適切な店舗運営
過剰在庫や大量廃棄が問題となっているアパレル業界では、機械学習を用いて適切な店舗運営をおこなうことに注目が集まっています。
機械学習で適切な在庫管理を実現することで、在庫や廃棄を削減することができます。
また、在庫管理にAIを取り入れることで自動発注も可能なため、従業員が接客に集中できるというメリットもあります。
チャットボットによる問い合わせ
企業の問い合わせなどに導入されているチャットボットは、機械学習によって成り立っています。
顧客からの問い合わせをチャットボットである程度自動化し、カスタマーサポートの業務を削減することに成功しています。
問い合わせ対応に取られる時間の短縮や人件費削減など、企業の生産性向上にも直結しています。
コールセンターの自動化
コールセンターでは、機械学習を用いた自動音声での案内が導入されています。
音声認識やナンバープッシュによる案内で受付を自動化し、必要な対応のみを人に引き継ぐ形を採用するコールセンターは増えています。
医療支援
医療支援の現場でも、機械学習が活用されています。
レントゲン、エコー、MRIといった画像から、病変や腫瘍の可能性がある部位をAIに抽出させることが可能です。医師の業務軽減や見落とし防止のため、導入している医療機関が増えています。
音声認識アプリ
Googleの鼻歌検索や、音楽検索アプリの「Shazam(シャザム)」では、あらかじめAIに学習させた膨大な音楽データと、認識した音声を照合して情報を表示します。
音楽データは波形データとして認識されており、それらと認識した音声の波形を照合して一致、または類似する楽曲のタイトルやアーティスト名などを表示する仕組みです。
商品自動識別
多くのスーパーやコンビニで導入されているセルフレジにも、機械学習が活用されています。
AIが購入前の商品を自動認識し、商品の合計点数や会計を算出することで人手不足の解消や業務効率化に貢献しています。
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まとめ
AIの要素技術である機械学習。機械学習の活用が広がる背景には、労働人口の減少が予測されていること、働き方改革が推進されていること、業務改善効果を実感している企業が増えていることなどが挙げられます。
機械学習には「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3種類があり、目的に応じて適切な学習方法を選択する必要があります。
実際の活用事例は多く、本記事で紹介した他にも多くの場面で機械学習が活用されています。今後ますます新たな分野で機械学習が活用され始めることでしょう。
AI技術は需要が高まっているため、関連する知識やスキルを持つ人材は市場価値が大幅に高まります。
今後ますます活用の場が広がる機械学習を、専門的に学んでみてはいかがでしょうか?