IT転職に有利な資格とは?選び方のコツや目的別におすすめな資格を紹介
IT業界への転職を考えている場合、何かしらの資格を取得してから転職するべきか悩む方は少なくないでしょう。
本記事では、IT転職で有利に働く資格についてや、その資格のメリット、資格の選び方、レベル別の役立つ資格についてそれぞれ解説します。
これからIT転職を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ITエンジニアの転職に資格は必要?
ITエンジニアの転職において資格は決して必須条件ではありませんが、選考で有利に働くことがあるため取得しておくメリットはあるでしょう。
また可能であれば職種に合わせた資格を取得しておくとより良いでしょう。
IT転職における資格取得のメリット
IT業界への転職を目指す上で資格を取得するメリットには、以下のようなものがあります。
- 資格を取得していることで、ITに関するスキルや知識があることを証明できる
- 資格取得を通して、仕事に役立つ専門知識を身につけることができる
- 企業によっては、資格取得者に特別手当が支給されることがある
以下では、IT資格を取得するメリットについてそれぞれ詳しく解説します。
スキルや知識を証明できる
IT系の資格を取得していれば、ITに関する一定の知識やスキルがあることを証明できます。
過去の業務経験に基づいて自己PRすることも不可能ではありませんが、資格があればより説得力が増し、相応の評価を得られることが期待できます。
どんな企業への就職を目指すとしても、資格があることでスキルと知識の証明ができるのは大きなメリットです。
専門知識を身につけられる
資格を取得するまでの過程で、専門知識を正しく身につけることができます。
実務で身につける技術やスキルにはレベルや内容にバラつきがありますが、資格取得を目指して勉強すれば正しい知識をきちんと身につけられるでしょう。
未経験の分野への転職を考えている場合でも、資格取得を通じて効率的に知識を身につけることができ、転職がしやすいというメリットがあります。
資格手当が受けられる
企業によっては、有資格者に特別手当が用意されていることがあります。
手当の内容や対象となる資格については企業によって異なりますが、年収アップの可能性もある点は資格取得のメリットと言えるでしょう。
IT転職に役立つ資格の選び方
IT業界への転職に役立つ資格は、難易度、キャリアマップ、資格の活かし方の3点に注目して選びましょう。
ここでは、IT転職における資格の選び方のポイントについてそれぞれ解説します。
自分のレベルに合った難易度で選ぶ
IT業界への転職をするために資格取得を目指すなら、まずは自分のレベルに合ったものから資格を選びましょう。
初心者が高難易度資格を目指しても勉強に時間と労力を費やすことになり、肝心の転職活動が行き詰まってしまうということになりかねません。
また、逆に既にある程度実績のあるエンジニアが初心者向けの資格を取得してもキャリアアップに活かしづらいということもあります。
転職に活かせるよう、自分のレベルに合ったIT資格をチェックして、取得を目指しましょう。
【IPAが定める資格のレベル】
レベル1 | 情報技術に関する最低限必要な基礎知識を有している。 |
レベル2 | 上位者の指導のもと、要求された作業を担当できる。プロフェッショナルになるために必要な基本的知識と技能を有している。 |
レベル3 | 要求された業務をすべて独力で遂行できる。スキルの専門分野を確立することを目指し、プロフェッショナルに必要な応用的知識や技能を有している。 |
レベル4 | スキルの専門分野が確立しており、スキル活用によって独力で業務、課題発見・解決をリードできるレベル。社内におけるハイレベルなプレーヤーとして認められる。 |
レベル5 | スキルの専門分野が確立しており、社内において自他共に実績と経験を有していることや、企業内のハイエンドプレーヤー(※)として認められるレベル。 |
レベル6 | スキルの専門分野が確立しており、プロフェッショナルとして社内外で組織をリードできるレベル。市場においてプロフェッショナルとしての実績があり、国内のハイエンドプレーヤーとして認められる。 |
レベル7 | スキルの専門分野が確立しており、プロフェッショナルとして社内外で組織をリードできるレベル。市場全体から見て、先進的なサービス開拓や市場化をリードした実績があり、世界で通用すると認められる。 |
※ハイエンドプレーヤーとは、ハイレベルなプレイヤーのこと
キャリアマップに沿って選ぶ
キャリアマップに沿って、希望に合った資格を見極めることも重要です。
キャリアマップとは、厚生労働省が発表している、職業能力評価基準のレベル1〜4をもとに示される、能力開発の標準的な道筋のことです。
キャリアの道筋、レベルごとの習熟に必要な目安年数、レベルアップに役立つ実績と経験、関連資格などがまとめて記載されているため、キャリア形成に役立ちます。
キャリアマップで資格ごとの特徴や分野を確認したうえで、自分の目指す職種で活かせるかどうかを見極めてください。
転職活動の際、どんな目的で取得したのか説明できる資格を選ぶのがベストです。
資格の活かし方で選ぶ
取得した後の活かし方を考えたうえで、勉強する資格を選びましょう。
IT資格には、国家資格、ベンダー資格、ベンダーニュートラル資格(VN)の3つがあります。特に国家資格は認知度が高く、転職でもアピールしやすいというメリットがあります。
ベンダー資格は民間資格で、企業主催のものです。特定の製品やサービスのスキルや知識を実践レベルで証明できます。応募する企業が関連製品を取り扱っている場合、強い武器になるでしょう。
ベンダーニュートラル資格は、NPO法人などが主催する民間資格のことです。特定の製品やサービスに縛られず、幅広く応用できる内容が多いことが特徴です。
IT転職に役立つ資格【未経験者向け】
IT業界未経験者なら、以下のような資格取得から始めるのがおすすめです。
資格 | 特徴 | 分類 |
---|---|---|
基本情報技術者試験 | ITエンジニアの登竜門。情報戦略やシステム開発に関する基礎知識が問われる。認知度が高い。 | 国家資格 |
CCNA(Cisco Certified Network Associate) | 変化し続けるIT環境への対応力を証明する。高度なネットワークの最適化や管理に必要なスキルと知識が求められる。有効期間は3年間で、維持には再試験への合格などが必要。 | ベンダー資格 |
Linux技術者認定 LinuC(リナック) | システム構築から運用管理に求められるスキルを証明する。4段階に分けられた認定取得があり、レベル3以上は専門性のアピールができる。 | ベンダーニュートラル資格 |
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、IT業界ではエンジニアの登竜門とも言われる情報処理の国家資格です。ITSSではレベル2に相当します。
情報戦略やシステム開発に関する基礎知識が問われ、取得することで幅広い情報技術の知識を証明できます。
また認知度の高いIT資格であるため、転職活動などでもアピールしやすいでしょう。
基礎レベルの資格ではあるものの、合格率46%程度と難易度は低めです。
基本情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
CCNA
CCNAは、世界最大手のネットワーク機器メーカーのシスコシステムズ合同会社が認定している、ITSSレベル2相当のベンダー資格です。変化し続けるIT環境に対応できることを証明することができます。
ネットワーク基礎、IPサービス、セキュリティ基礎、自動化(※)およびプログラマビリティ(※)を対象に、高度なネットワークの最適化・管理に必要なスキルと知識が求められます。
シスコの認定は合格後は3年間のみ有効で、再認定には認定試験への合格やポイント取得が必要となっています。
※自動化とは、手動でおこなっていたことを機会やソフトウェアによって自動で行うこと
※プログラマビリティとは、システムやネットワークがプログラムによって制御可能なこと
CCNA – Training & Certifications – Cisco
Linux技術者認定 LinuC(リナック)
Linux技術者認定 LinuC(リナック)は、システム構築から運用管理に求められるスキルを証明できるベンダーニュートラル資格です。
アーキテクチャ設計(※)、システム構築、運用管理までと幅広い分野をカバーし、4段階に分けられた認定取得を通じて着実にスキルと知識を習得できます。
専門性のアピールができるのは、「LinuCレベル3」(ITSSレベル3相当:要求された作業を全て一人でできるレベル)と「LinuCシステムアーキテクト」(ITSSレベル4相当:プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立していて、自らのスキルを活用することによって、自力で業務上の課題の発見と解決をリードできるレベル)の2つです。
※アーキテクチャ設計とは、システムの基本的な構造を決定する作業でシステムやアプリを開発する上で欠かせないもののこと
Linux技術者認定 LinuC(リナック)とは | LPI-Japan
IT転職に役立つ資格【キャリアアップを目指す人向け】
エンジニア経験者がさらにキャリアアップを目指す場合は、以下のような資格がおすすめです。
資格 | 特徴 | 分類 |
---|---|---|
システムアーキテクト試験 | 上級エンジニア向けの資格。分析から設計まで、全体の最適化をはじめとする幅広いシステム関連の知識が求められる。 | 国家資格 |
ネットワークスペシャリスト試験 | インフラ系やネットワークエンジニアにおすすめ。ネットワークの固有技術からサービスまで、幅広い知識とスキルが求められる。 | 国家資格 |
データベーススペシャリスト試験 | データベース管理者やインフラ系エンジニアにおすすめ。ビッグデータの管理やデータ分析など、需要の高まる分野の知識とスキルを証明する。 | 国家資格 |
情報処理安全確保支援士試験 | 技術・管理の両面から有効な対策を助言・提案して経営層を支援するセキュリティコンサルタントにおすすめ。サイバーセキュリティのリスク分析や評価、安全なシステムの企画から運用までの支援ができることを証明する。 | 国家資格 |
クラウド関連試験(AWS、GCP、Azure) | クラウド提供企業が主催する、各サービス関連の認定試験。応募先のクラウド環境によっては重宝されるため強い武器となる。 | ベンダー資格 |
システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験は、上級エンジニア向けの国家資格です。ITSSでは、レベル4に相当します。
システム開発の上流工程を対象に、主導する立場で知識に基づいた的確な分析をしたり、ニーズに合った情報システムの設計により完成へ導くスキルを証明します。
分析、要件定義、外部設計など、全体の最適化をはじめとするシステム関連の幅広い知識が求められます。
システムアーキテクト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験は、インフラ系エンジニアやネットワークエンジニアを目指す方向けの国家資格です。ITSSでは、レベル4に相当します。
ネットワークに関連する固有技術からサービスまで幅広い知識を持ち、目的に合わせて大規模かつ堅牢(※)なネットワークシステムを構築、運用できることを証明できます。
※堅牢とは、ハードウェアなどが丈夫で壊れにくい設計になっていることや、ソフトウェアやシステムなどが、予期せぬエラーや障害、セキュリティ上のリスクなどに柔軟に対応できること
ネットワークスペシャリスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、データベース管理者やインフラ系エンジニアに最適な国家資格です。ITSSでは、レベル4に相当します。
企業活動における膨大なデータを管理し、高パフォーマンスなデータベースシステムを構築したり、顧客のビジネスに活用するデータ分析の基盤を提供したりするための知識とスキルが求められます。
データベーススペシャリスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
情報処理安全確保支援士試験
情報処理安全確保支援士試験は、技術・管理の両面から有効な対策を助言・提案して経営層を支援するセキュリティコンサルタントを目指す方におすすめの国家資格です。ITSSでは、レベル4に相当します。
サイバーセキュリティのリスクを分析・評価し、事業、サービス、情報システムの安全確保ができることを証明できます。
安全なシステムの企画から運用まで支援できるスキルと知識が求められます。
情報処理安全確保支援士試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
クラウド関連試験(AWS、GCP、Azure)
クラウド関連の試験に合格していれば、多くの企業で重宝されるでしょう。
クラウド移行を進める企業が増えている一方、クラウドの正しい知識を持つ人材は不足しています。
AmazonのAWS(Amazon Web Services)、GoogleのGCP(Google Cloud Platform)、MicrosoftのAzure(アジュール)などはそれぞれ認定資格が提供されており、取得しておくことで転職活動にも活かせることがあります。
IT転職に役立つ資格【ゼネラリストを目指す人向け】
ゼネラリスト(※)を目指す、上級者向けのIT資格には以下のようなものがあります。
※ゼネラリストとは、幅広い知識と技術、経験をもち、オールラウンドに活躍できる人材のこと
資格 | 特徴 | 分類 |
---|---|---|
応用情報技術者試験 | 高度IT人材として方向性が確立している方向け。基本技術、システム管理、経営戦術など幅広い分野における高い応用力が問われる。 | 国家資格 |
ITストラテジスト試験 | CIO(最高情報責任者)、CTO(最高技術責任者)、ITコンサルタントを目指す方におすすめ。経営戦略に基づいた高度なIT活用ができることを証明する。 | 国家資格 |
プロジェクトマネージャ試験またはPMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル) | プロジェクトマネジメントのプロであることが証明できる。企画の策定、予算、スケジュール、リスクのすべてを管理できる高度なスキルと知識が求められる。 | ベンダーニュートラル資格 |
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、ITエンジニアとしてのレベルアップを目指す方におすすめの国家資格です。ITSSでは、レベル3に相当します。
基本技術、システム管理、経営戦術など、幅広い知識をもとにした応用力が問われ、システム開発やIT基盤構築などで高いパフォーマンスを発揮できることを証明できます。
高度IT人材として、どの分野でどんな技術を極めたいのか、どんな作業でプロフェッショナルとして活躍したいのかという方向性を確立した方を対象にしています。
応用情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験は、CIO(最高情報責任者)、CTO(最高技術責任者)、ITコンサルタントを目指す方におすすめの国家資格です。ITSSでは、レベル4に相当します。
経営戦略に基づき、IT戦略の計画・決定やITを活用した事業革新、業務革新を提案したり、製品やサービスの創出を企画、推進してビジネスを成功へ導けることを証明できます。
ITを活用して事業を改革したり、高度化や最適化をしたりするための基本戦略の計画、提案、推進をするスキルが身につきます。
ITストラテジスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
プロジェクトマネージャ試験またはPMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)
プロジェクトマネージャ試験またはPMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)は、どちらもプロジェクトマネジメント(PM)のプロフェッショナルであることを証明できるベンダーニュートラル資格です。プロジェクトマネージャ試験はITSSでレベル4、PMPはITSSでレベル3に相当します。
プロジェクトの企画を立てたり、予算、スケジュール、品質、リスクなどの管理ができる知識やスキルが問われます。
高難易度資格ですが、IT業界では広く認知されている資格であるため取得するメリットは大きいでしょう。
プロジェクトマネージャ試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
PMI®試験・資格について | 一般社団法人 PMI日本支部
通信制大学に迷ったら、開志創造大学 情報デザイン学部(仮称・設置構想中)
開志創造大学 情報デザイン学部(仮称・設置構想中)は2026年4月開設予定の通信教育課程を持つ大学です。一度も通学することなく大学を卒業することができ、「学士(情報学)」の取得が可能です。
授業は全てオンデマンド形式(事前録画型)のため、好きな時間に好きな場所で受講ができます。社会人の方であれば、通勤中のスキマ時間を利用したり、家事・育児の合間に学修を進めることができるため、時間を有効活用してITスキルを身につけることが可能で、年間学費25万円と学び直しを始めやすい学費設定になっています。
また、卒業すると「学士」が取得できるため、大卒求人への応募が可能となります。今まで大卒資格がないことで諦めなければならなかった求人にも応募することができるようになります。
社会全体で必要とされているIT・デジタルスキルを身につけることで、転職活動の幅が広がり、身につけたスキルを活かして自分の行きたかった業界ややりたい仕事に就ける可能性が高まります。
少しでも開志創造大学 情報デザイン学部(仮称・設置構想中)に興味をお持ちの方は、ぜひ公式Webサイトをチェックしてみてください!
まとめ
IT業界への転職を考えている方の中には、資格取得で自分の市場価値を高めようと考えている方は多いでしょう。
IT転職で有利に働く資格には、スキルと知識の証明や専門知識の習得といったメリットの他、企業によっては特別手当が受けられることもあります。
転職のためにIT系の資格を取るなら、自分に合ったレベルのものをキャリアマップに沿って選ぶことが重要です。また、資格取得後の活かし方についてもあらかじめ考えておくと良いでしょう。
本記事では、IT転職でおすすめの資格を目指すレベル別にそれぞれ紹介しました。どの資格を取るべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
IT転職に有利な資格を取得し、自分の目指す職種への転職を目指しましょう。