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2024.10.25
カスタマージャーニー

カスタマージャーニーとは?基本の考え方やマップの作り方をわかりやすく解説

商品やサービスを提供する際に考えるべきとされる「カスタマージャーニー」。マーケティング施策に関わる方なら、見聞きしたことがある用語でしょう。

本記事では、カスタマージャーニーの概要、必要性、時代遅れと言われる理由、メリット、プロセスについてそれぞれ解説します。

マーケティングに関わる方、これからマーケティング部門に携わりたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

カスタマージャーニーとは?

カスタマージャーニーとは、顧客が商品を購入、利用、継続、再購入するまでの道のりのことです。カスタマーは顧客、ジャーニーは旅を指す英語で、組み合わせることで「顧客の購入から再購入までの旅」を示します。

顧客の行動、思考、感情を時系列にして示すもので、顧客の心理や行動について理解するために用いられます。

また、このカスタマージャーニーの様子を図にしたものをカスタマージャーニーマップと呼びます。

カスタマージャーニーの必要性

カスタマージャーニーは、多様な顧客がそれぞれどのようなプロセスで購入や再購入に至るのかを整理し、適切なマーケティング施策に活かすために必要であると考えられています。

顧客の属性、環境、心理、行動をそれぞれ可視化して管理できるカスタマージャーニーを用いれば、さまざまな顧客に適切に対応できます。

また、現行のマーケティング施策と顧客のニーズとの間にあるズレを見つけたり、新たなマーケティング施策の考案に活かしたりすることも可能です。

定期的にカスタマージャーニーマップを作成してマーケティング施策について見直し、適切な施策を行うことで、自社・自店の優良顧客を増やすことができるでしょう。

カスタマージャーニーが時代遅れと言われる理由・背景

一部では、カスタマージャーニーについて「時代遅れ」「古い」「無意味」などと言われることがありますが、その理由にはデジタル化の推進による、顧客の購買意欲と購入までの時間の関係性が変化したことが挙げられます。

従来のカスタマージャーニーでは、時間をかけて顧客の購買意欲を高める「ジャーニー型消費行動」が一般的でした(下図左)。しかし、最近ではECサイトやSNSの普及などにより消費者の購買意欲が突発的に刺激される機会が急増し、一定以上の刺激に達した場合にその場で購入を決定する「パルス型消費行動」が増えています(下図右)。

【購買意欲と時間の関係性】

出典:データから見えたパルス型消費行動:パルス消費を捉えるヒント 2

上記グラフ内にある「AIDMA」というアルファベットは、消費者が商品を見てから購入に至るまでのプロセスを示す法則のことで、A(Attention):注意 I(Interest):興味 D(Desire):欲求 M(Memory):記憶A(Action):行動 の頭文字を取ったものです。購入は最後のA(Action)にあたります。

予測できない突発的な購入が主流となっている現代において、顧客の行動や心理を予測して活用するカスタマージャーニーはあまり有効ではないと考える方も多く、「カスタマージャーニーは時代遅れ」と言われることがあるのです。

カスタマージャーニーのメリット

カスタマージャーニーを活用するメリットには、以下のようなものが挙げられます。

  • 顧客目線で商品やサービスについて再確認できる
  • 社内の認識の統一やスムーズな施策展開ができる
  • マーケティング施策のKPIを明確にして、PDCAサイクルの質を上げることができる
  • 顧客体験の質を高めることによるブランド価値の向上が図れる

それぞれ詳しく解説します。

商品やサービスについての再確認

カスタマージャーニーを考えることで、商品やサービスについて顧客目線で再確認することができます。

普段は売り手目線で考えてしまいがちでも、カスタマージャーニーを通して顧客の目線で自社商品やサービスの見直しができ、新たな気づきを得ることができるでしょう。

認識の統一とスムーズな施策展開

カスタマージャーニーを考える際、メンバーそれぞれが「顧客理解」という共通の目的を持つことになるため、商品やサービスに関する認識や情報を統一できます。

コミュニケーションが活発になることで情報共有もスムーズになり、施策展開も迅速におこなえるでしょう。

また、カスタマージャーニーマップで可視化することで、社内外を問わず、関係者間で共通の認識を持つことができるのもメリットです。

共通認識を持つことと情報共有により、スムーズにマーケティング施策を進められます。

マーケティング施策のKPI明確化とPDCAサイクルの質向上

カスタマージャーニーの設定では、顧客のペルソナ(※1)や課題、解決方法などについて明確に考える必要があるため、明確なKPI(※2)を設定することになります。

KPIが明確であるほどマーケティング施策は具体化され、目標達成に向けた取り組みを推進できます。

また、KPIが明確になるとマーケティングのPDCAサイクル(※3)も深めることができるでしょう。

※1:ペルソナとは、サービスや製品の理想的の顧客像を具体的に描いたもののこと

※2:KPIとは、重要業績評価指標(Key Goal Indicator)とも言い、目標の達成状況を評価するための指標のことであり、目標達成までの状況を把握して進捗などを確認するもののこと

※3:PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字を取った言葉で業務改善、品質改善、目標達成のために繰り返すサイクルのこと

ブランド価値の向上

カスタマージャーニーによって顧客目線で商品やサービスについて考え、見直したり改善したりすることで顧客体験の質を高め、ブランド価値を向上させる効果が期待できます。

顧客体験が高まるほどブランドとしての価値は高まり、顧客からの期待や信頼を集められるでしょう。

カスタマージャーニーマップの作成プロセス

カスタマージャーニーマップは、以下の手順で作成していきます。

  1. ペルソナの設定
  2. フェーズ(プロセス)の定義
  3. ペルソナの行動や心理の書き込み
  4. 対応施策の書き込み
  5. 不足している施策とタスクの洗い出し
  6. 改善と追記

【例】

出典:初めての「カスタマージャーニーマップ」基本と作り方・例~無料テンプレート付き~ – ミエルカマーケティングジャーナル

①ペルソナの設定

カスタマージャーニーでは、最初にペルソナ(=理想の顧客像を具体的に描いたもの)の設定をします。

顧客像を明確にしていないと、心理や行動のパターンが想定できません。

ペルソナの設定は、実際の購買データの閲覧や営業担当へのヒアリング、問い合わせデータの閲覧などで絞り込んで決めていくのがおすすめです。

事業内容により、ペルソナのパターンを3〜5人ほど設定すると多様な消費者のニーズをきちんと分けて把握することができます。

【ペルソナの例】

子育てをしながらパートタイム勤務をしている20代後半の女性。育児・家事と忙しく、買い物になかなか行けないと悩んでいたところ、友人からのおすすめでネットスーパーに興味を持ち、自社サイトを閲覧した。

②フェーズの定義

ペルソナを設定したら、カスタマージャーニーマップの横軸にあたるフェーズ(プロセス)を定義します。

基本的なフェーズを以下にまとめているので、自社の事業内容にマッチするものを選び、アレンジ等を加えて活用してください。

名称フェーズ(プロセス)概要
AIDA(アイダ)Attention(注意)製品やサービスの認知をした段階。詳しい理解はしていない。
Interest(興味)製品やサービスの良さを認識し、興味を持つ。
Desire(欲求)製品やサービスについて、欲しいと思う。
Action(購買行動)製品やサービスを購入したり、契約したりする。
AIDMA(アイドマ)Attention(注意)製品やサービスの認知をした段階。詳しい理解はしていない。
Interest(興味)製品やサービスの良さを認識し、興味を持つ。
Desire(欲求)製品やサービスについて、欲しいと思う。
Memory(記憶)製品やサービスの存在、魅力、詳細について覚える。
Action(購買行動)製品やサービスを購入したり、契約したりする。
AISAS(アイサス)Attention(注意)製品やサービスの認知をした段階。詳しい理解はしていない。
Interest(興味)製品やサービスの良さを認識し、興味を持つ。
Search(検索)製品やサービスについて、欲しいと思う。
Action(購買行動)製品やサービスを購入したり、契約したりする。
Share(共有)製品やサービスを継続して使用し、他者に情報を共有する。

③ペルソナの行動や心理の書き込み

フェーズを定めたら、消費者の行動や心理を想定して書き込んでいきます。フェーズごとの感情、背景、行動についてペルソナごとに想定し、マップに書き込みましょう。

ペルソナの行動や心理について考えるときは、顧客と直接接するスタッフにヒアリングをおこなったり、顧客にインタビューやアンケートを取ったり、SNSや掲示板をチェックしたりして情報を集めると良いでしょう。

④対応施策の書き込み

次に、ペルソナの行動や心理に対して、現在おこなっている施策を書き込んでいきます。

各フェーズに対応している施策を実行できているのか確認するとともに、不足部分の洗い出しができるステップです。

また、施策が顧客の行動や心理に良い影響を与えられているのか考える機会にもなります。

⑤不足している施策とタスクの洗い出し

ステップ④までを通して、不足している施策やこれから取り組むべきタスクを洗い出しましょう。

【例】

顧客の行動「Share(共有)」の段階に実施している施策がない。

→口コミ投稿で特典をプレゼントするキャンペーンを提案する。

→キャンペーンに必要な告知や情報拡散、特典内容について会議をおこなう必要がある。

⑥改善と追記

⑤までの作業を終え、カスタマージャーニーマップが完成したら、不足している施策や必要なタスクを実行していきます。

施策の実行後、実際の顧客の動向を見つつ改善と追記を繰り返しましょう。

施策が成功したのか失敗したのか、どのようなことがわかったのか、改めて別の施策を実行するのか、現行の施策をブラッシュアップしていくのか、何度も改善と追記を繰り返してカスタマージャーニーを深掘りしていきます。

カスタマージャーニーを深掘りすることで、商品やサービスの売上を伸ばすために必要なことを明確にしていけるでしょう。

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まとめ

顧客の心理や行動を深く理解し、マーケティングに活かせる「カスタマージャーニー」。

カスタマージャーニーは近年のデジタル化によって変化した消費者の行動パターンに合わないという声もあります。

しかし、カスタマージャーニーを通して顧客の目線で考えることで、売り手目線では気付けないことに気付けたり、関係者間でスムーズな情報共有ができたり、KPIの明確化や顧客体験の向上など、さまざまなメリットがあることも事実です。

カスタマージャーニーによって得られるメリットは多く、直接的に売上に繋がらなかったとしても社内のコミュニケーションや情報共有、マーケティングの方針決めなどに役立つという意味で必要な作業であると言えるでしょう。

実際にカスタマージャーニーマップを作成する際は、ペルソナの設定、フェーズの定義、ペルソナの行動や心理の書き込み、対応施策の書き込み、不足している施策とタスクの洗い出しの流れで進行します。

カスタマージャーニーマップは一度作成して終わりではなく、改善と追記を繰り返すことでより効果を発揮するものです。

今回ご紹介したカスタマージャーニーマップの作り方を参考にして、商品やサービスを顧客目線で理解し、自社のマーケティング施策に活かしましょう!。

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