批判的思考(クリティカルシンキング)とは?必要性や実践方法なども徹底解説!
ものごとの本質を見極めるために必要とされる「批判的思考(クリティカルシンキング)」。情報化社会において、本質を見抜くスキルは重要です。
本記事では、批判的思考とは何か、批判的思考の必要性、メリット、実施方法、活用法、トレーニング法についてそれぞれ解説します。
ものごとの本質を見抜く能力を身につけたい方、情報を取り扱う仕事に携わる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
批判的思考法(クリティカルシンキング)とは
批判的思考とは、クリティカルシンキングとも呼ばれる思考法の1つです。
あるものごとについて、現状の課題や問題が何かを「批判的」に捉えて、本質的な課題を仮説立てて広範囲に考え、本質的な部分を見抜く思考法を指します。
批判的思考(クリティカルシンキング)と論理的思考(ロジカルシンキング)の違いは?
批判的思考と似た用語に、「論理的思考(ロジカルシンキング)」がありますが、両者は異なる言葉であるため注意が必要です。
批判的思考は、ものごとに対して「本当に正しいか?」「他に方法はないか?」と疑いながら批判的に考えます。
一方で、論理的思考はものごとを筋道立てて、矛盾がないように結論を導く思考法です。
批判的思考法(クリティカルシンキング)の必要性
批判的思考は、情報化社会である現代において情報を取捨選択するために必要であると考えられます。
目の前の膨大な情報に対し、「なぜ?」「これは必要か?」「これはやるべきか?」という判断を個人がしていく必要があります。しかし、ただ批判的になるだけで本当に重要な情報や実施するべきことを見落としてしまっては本末転倒です。
情報を的確に選び取り、行動に繋げていくためには批判的思考をもって情報と向き合うことが必要と言えます。
批判的思考法(クリティカルシンキング)が注目されている背景
現代は予測できない出来事が頻繁に起こる時代です。
予測の難しい現代を生き抜くには、過去の経験に頼るばかりではなく、柔軟な思考によってこれから起こりうる未来の問題に対処する能力が必要となります。
現状と真摯に向き合い、柔軟な思考を働かせるため、批判的思考が注目されているのです。
また、多様な価値観が共存する現代では、物事の本質が見えにくくなっています。本質的な理解のためにも、批判的思考は有効です。
批判的思考法(クリティカルシンキング)のメリット
批判的思考を実施するメリットには、以下のようなことが挙げられます。
- 冷静な思考と判断によるコミュニケーションの円滑化
- 情報を適切に判断し行動に反映できる
- 客観的な分析によって問題解決能力が向上する
- 新たな視点で柔軟な発想ができるようになる
それぞれ詳しく解説します。
コミュニケーションの円滑化
批判的思考を実践することで、冷静な思考と判断ができるようになり、組織内でのコミュニケーションが円滑になることが期待できます。
批判的思考を実践することで、自身の発言に説得力を持たせ相手を納得させたうえで行動を促せたり、相手の話を冷静に聞いて意図をくみ取れるようになったりするといったメリットがあります。
適切な判断と行動
組織が持っている情報をもとに、適切な判断や行動ができる、または指示できるようになるのも批判的思考を実践するメリットです。
数値データの本質を理解し、適切な判断が下せるようになるでしょう。
問題解決能力の向上
問題が発生したとき、客観的に情報を分析したり問題の本質を見抜いたりする際、批判的思考が役立ちます。
また問題解決においては、批判的思考で本質を見抜き、論理的思考で解決策を提示するとスムーズに解決できるでしょう。
柔軟な発想
知識や経験が身につくと、それらに頼りすぎて偏った考えになりがちですが、批判的思考を取り入れることで、他の可能性にも目を向けられるようになります。
自分自身の考えについても「本当にそうだろうか?」と考えることで、柔軟な発想ができるようになります。
新たなアイディアが求められるビジネスにおいて、批判的思考で自分自身の視野を広げることは重要なスキルです。
批判的思考法(クリティカルシンキング)の基本
批判的思考を実践する際は、3つの基本を抑えておくことが大切です。
- 目的を定めて思考する
- 思い込みや思考のクセは誰にでもあることを理解する
- 事実と意見を見極める
目的を定めてから思考する
批判的思考では、まず目的を明確に定めて、それを達成するまで思考することが求められます。
思考の途中で目的を見失うと、何を目指して考えていたのかわからなくなり、迷走してしまう恐れがあります。そのため、最初に目的をしっかり定めておけば、迷走することなく思考を進められるでしょう。
また批判的思考は単に思考し続けるだけでなく、目的に辿り着くまで問いかけを続けることが大切です。途中で諦めず、明確な答えが出るまで問いと思考を繰り返しましょう。
誰にでも思い込みはあるということを理解する
思い込みや思考のクセは、誰にでもあることを前提として批判的思考をおこないましょう。
自分自身や他者の意見をそのまま受け入れるのではなく、客観的かつ批判的な視点で分析することが大切です。
事実と意見を見極める
批判的思考を実践する際、事実と意見の違いをきちんと理解し、見極めることを意識しましょう。
事実とは「実際に起こったこと」を指します。例えば「前年度の売上は4,000万円、今期の売上は5,000万円で前年度を上回っている」というのは事実です。一方で「今年度の売り上げが前年度を上回ったのは、若年層の顧客が増えたからかもしれない」というのは意見です。
意見を出す際は、それを裏付ける具体的なデータや根拠を提示することが重要となります。
批判的思考法(クリティカルシンキング)の実践方法・流れ
ビジネスシーンで批判的思考を実践するときは、以下の流れに沿っておこないましょう。
- 目的を明確にする
- 前提条件を疑い、整理する
- 課題や問題点を洗い出して仮説を立てる
- 課題解決に向けたプランを策定する
目的の明確化
批判的思考を実践するときは、最初に目的を明確にします。
何をしたいのか、どの課題を解決したいのか、どの状態が理想なのか、それぞれ明確にしておきましょう。
目的が明確であれば、思考がまとまりやすく効果的な戦略を考えることができます。
前提条件の整理
次に、前提条件について疑い、整理していきます。
「そもそもこの前提は正しいのか?」「意見や考えは偏っていないか?」「他に考えるべきことはないか?」など、常に疑いの姿勢で前提条件を整理していきます。
前提条件を検証する際は、事実に基づいて判断することが大切です。憶測や予想、固定観念に囚われすぎないように注意してください。
課題や問題の洗い出し
続いて、課題や問題を洗い出し、目的との差について正しく認識します。
課題解決などの目的に向けて、現状の課題や問題を適切に分析してください。その際、問題の根本的な原因や関連する要因を特定し、影響や重要性を評価することで解決策の手がかりを得ることができます。
客観的な事実やデータなどの情報を活用し、主観的な意見や先入観は除いて検討することが大切です。
解決のためのプラン策定
課題の分析が終わったら、最後に解決のためのプランを策定します。
問題解決に向けた手順や行動計画を立て、実行することで最初に設定した目的を達成できるでしょう。
プラン策定では5W1H(※)を用い、誰が、何を、いつおこなうのかを明確にします。必要な人員や資金、スケジュールなどをきちんと検討し、漏れのない緻密な計画を立てましょう。
※5W1Hとは、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の英単語の頭文字をとった言葉で、情報をこの要素で整理することで、正確に伝わりやすくするというフレームワークのこと
批判的思考法(クリティカルシンキング)の活用方法
批判的思考を活用できるシーンとして、「新規事業の立ち上げ」「業務改善や改革」「組織の再構築」が挙げられます。
それぞれ詳しく解説します。
新規事業の立ち上げ
新規事業を企画する際、未解決の課題を見つけ出し、その解決方法や解決につながる技術の開発などを新たな事業として扱う場面が想定されます。
表面的な事象を深掘りして本質的な課題を見つけ出し、隠れたニーズを引き出すことで、価値のある事業や企画を発案できるでしょう。
批判的思考は、このような課題や事象の深掘りをおこなう際に活用されています。
業務改善や改革
目先の見直しではなく根本的な改革をおこなう場合、批判的思考によって課題の定義や深掘りをし、解決策を発案する必要があります。
重要な課題を解決しなければならないシーンでは、批判的思考でものごとの本質を見抜くことが重要です。
組織の再構築
企業価値の向上や経営の効率化のために、組織を編成し直す場合、組織の目標や課題を洗い出し、深掘りする必要があります。
批判的思考で組織の目標や課題の本質を見直すことで、再構築の基盤を築くことができるでしょう。
組織のあり方について見直す場合には、目標や課題の本質を見極められる批判的思考を用いるのが適しています。
批判的思考法(クリティカルシンキング)のトレーニング方法
批判的思考を身につけるには、以下のようなトレーニング方法がおすすめです。
- 第三者目線を意識してものごとを見る
- 事実に基づいた発言を習慣づける
- 思考の偏りに自ら気づく力を身につける
- 諦めずに考え抜く力を養う
第三者目線でものごとを見る
第三者目線でものごとを見るようにすると、客観的な視点を養うことができます。
例えば、自分で作った資料を第三者目線で見直すと、説明不足な部分やわかりにくい箇所に気づけることがあります。
さまざまな場面で第三者の目線で見る習慣をつけることで、ものごとを客観的にとらえる力が養われ、批判的思考をする際に自身の先入観に影響されにくくなります。
事実に基づいた発言を習慣づける
事実に基づいた思考や発言を習慣づけることで、批判的思考がスムーズにできるようになります。
公式データや実際の記録を根拠にした発言を意識すると、感情や主観によった曖昧な思考や発言が少なくなるでしょう。
思考の偏りに気づく力を身につける
批判的思考では、偏った思考や主観的な意見を取り除くことが求められます。自分の思考の偏りに気づく力は、批判的思考において重要なスキルです。
自分の思考に偏りがあることを意識し、それに気づいたときは修正できる力を鍛えましょう。
考え抜く力を養う
批判的思考では、前提を疑ったり途中の意見について事実を調べたりと、手間がかかるステップが数多く存在します。
そのため、目的に辿り着くまで諦めず、途中で投げ出さない力が大切です。
日頃から与えられた仕事や課題を最後までやり抜く習慣を身につければ、批判的思考を用いるときにも諦めず考え抜くことができるでしょう。
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開志創造大学 情報デザイン学部(仮称・設置構想中)は、2026年4月開設予定の完全オンラインで学べる通信制の学部です。一度も通学せずに大学を卒業でき、卒業時には大学卒業の証である「学士(情報学)」の取得が可能です。
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PBL演習では学生同士でプロジェクトを立ち上げ、チャットでディスカッションをおこないます。演習で扱う課題は実際の企業が抱えているリアルな問題・課題なため、より実践的に批判的思考を用いて物事を見ていく力を養うことができます。
「この課題を解決するには、何を改善すればよいか?」「その具体的な改善方法は何か?」などを常に考えながら演習は進んでいくので、批判的思考を自然と身につけることが可能です。
PBL演習など、情報デザイン学部に興味のある方はぜひホームページもご覧ください。
まとめ
ビジネスシーンで役に立つ「批判的思考(クリティカルシンキング)」。ものごとを批判的に捉え、本質を見抜く思考法です。
情報であふれている現代において、本質を見抜く「批判的思考」は重要なスキルとして注目されています。
批判的思考をおこなえると、コミュニケーションの円滑化、適切な判断と行動、問題解決能力の向上、柔軟な発想などが可能になるため、さまざまな場面で役に立つでしょう。
ビジネスにおける批判的思考は、はじめに目的を明確にし、前提条件を疑って整理します。その後、課題や問題を洗い出して仮説を立てることで、課題解決に向けたプランを策定します。
批判的思考は新規事業の立ち上げや業務改善・改革、組織の再構築などの場面で活用されていますが、他にも課題や問題に向き合う際に活用できるでしょう。
批判的思考は、普段から第三者目線を意識してものごとを見たり、事実に基づいた発言を習慣づけたりすることで身につけられます。
また、思考の偏りに自ら気づく力を身につけたり、諦めずに考え抜く力を養ったりすることも、批判的思考を鍛えるために有効です。
批判的思考を実践できるスキルとして身につけ、ものごとの本質を見抜ける人材を目指しましょう!