未来を描くAIとIoT~IT業界の新常識とその具体的な活用シーン~
近年よく耳にするAIやIoT。これらは実際どのような技術で、どのような役割を果たしているのでしょうか?
現代社会に欠かせないIT業界の新常識であるこの二つの技術について、それぞれ解説していきます。
IT業界に興味のある方はもちろん、AIやIoTなどの単語は聞いたことがあるけれど、意味はよくわからないという方もぜひ最後までご覧ください。
目次
IT業界の新常識:AIとIoT
現代社会では急速なデジタル化が進行しており、その中心となっているのが「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」と「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」の二つです。AIとIoTは相性が良いことから、現代社会において最先端のビジネスモデルやサービス提供の現場で活用されています。
AI(人工知能)とは?
AI(人工知能)は、人間の脳の動きをコンピュータによって真似する技術です。
近年では医療、自動車、教育など幅広い分野で応用されています。AIの最大の特徴は人間のように経験から学んで、新しい情報を処理する能力があるという点です。
近年、AIの最新トレンドとして注目されているのが、「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる機械学習の一種です。ディープラーニングは、大量のデータから複雑なパターンを学び取ることが可能です。これによりAIは、自動車の自動運転や、音声認識、画像認識など、今までのプログラムでは難しかったことがこなせるようになっています。
AI>機械学習>ディープラーニングの図
また、AIの発達は人が話したり書いたりした内容を理解し、生成する「自然言語処理(NLP)」の進歩にもつながっています。この技術の進歩により、チャットボット(※)や音声アシスタントなどのAI製品は、自然な対話が可能となり、ますます人間に近いコミュニケーションがとれるようになっています。
しかし、AIの進化に伴い、データプライバシーや倫理的問題といった新たな課題も生じています。人間の先入観がAIの学習データに反映される可能性など、社会的な影響を引き起こす可能性があるため、近年ではAIの倫理や法制度についての議論も活発化しています。
※チャットボット:チャット(会話)とボット(ロボット)を合わせた言葉。ユーザーからの質問に自動で回答してくれるプログラムのこと
IoT(モノのインターネット)とは?
IoTとは、Internet of Things (モノのインターネット)の略で、インターネットを通じて様々なモノが情報を共有し、最適で快適なサービスを提供するためのシステムのことを指します。
例えば、外出先から遠隔操作で自宅のエアコンを入れたり、照明を消したりするなど、家電製品や自動車、産業機器など身の回りのさまざまなモノがIoT化しています。このIoT化が進むことで生活やビジネスの場面での利便性が格段に高まりました。
最近ではIoTは家庭内だけでなく、スマートホームやスマートシティなど、広く活用される例が増えてきています。また、IoTを工場内で活用し、製造の過程を最適化することでコストを削減し、品質向上や生産性を向上させるための取り組みも進んでいます。
機械学習と生成AI
現代のIT業界では、AI、特に機械学習と生成AIは無視できない重要な要素になっています。しかし、これらを効果的に利用するには、まずそれぞれがどのようなものなのかを理解する必要があります。
機械学習
機械学習はAIの1つで、人間ではなく「機械」が特定のタスクを達成するためのプログラムを作成し、自分で学習し、予測や判断する能力を開発する分野を指します。ポイントは「人間」によってプログラムが組み込まれているのではなく「機械」自身が行うという点です。
機械学習では、大量のデータを使用して「機械」が特定のパターンを認識し、それに応じて行動を変更することが可能になります。例えば、大量の画像から猫の写真を識別する方法を学習したり、音声認識システムは人の話す言葉を理解したりすることができます。
生成AI
生成AIは「生成的技術」とも呼ばれ、新しい情報やモノを作り出すAIの分野を指します。
最も一般的な例は、自然言語生成(NLG)と呼ばれる技術で、AIが人間のように会話できる技術です。この技術によってAIは文章やレポートを作成したり、自然な会話ができたりします。
また、生成AIは画像・音楽など様々なコンテンツを作ることもできます。これにより、新しい音楽の作成や画像・ビデオの生成などを生成AIを活用して行うことが可能となります。
このように機械学習と生成AIは、現代のIT業界において欠かせない要素です。これらの技術は、我々の生活やビジネスに革新的な変化をもたらし、効率的なサービス提供や新しいビジネスモデルを作り出すことを可能にしました。
IoTと5G:未来のコミュニケーション
IoTは近年の5G(第5世代移動通信システム)の普及とともに、更なる進化を遂げています。5Gは従来と比べて通信速度が大幅に向上し、大量のデータや高速な処理にも問題なく対応できるようになったため、本来の力を十分に発揮することができるようになりました。
これにより、リアルタイムで大量のデータを安定的にやり取りすることが可能となり、遠隔医療や自動運転車・ドローンなどの高度な技術を必要とする分野でも、IoTが活用されてきています。
AIとIoTの具体的な活用シーン
ここまで、AIやIoTの重要性やその役割について見ていきました。では実際にAIやIoTはどのようなシーンで活用されているのでしょうか?
AIを活用した製品とサービス
現在、AIは様々な業界・分野において広く活用されています。例えば、語学アプリの「Duolingo(デュオリンゴ)」ではAIを用いて個々のユーザーの学習パターンや苦手な問題を分析し、最適な問題を提供する「パーソナライズ学習」が行われています。また、自動車業界ではAIを活用した自動運転を目指す動きがあり「Waymo(ワイモ)」のドライバー無しで運行する自動運転タクシーサービスや、「Tesla(テスラ)」の運転の一部を自動化する自動運転システムが有名です。
IoTの実例:スマートシティとホームオートメーション
IoTは、前述したように「インターネット」と「モノ」をつなぎ合わせることで新たな価値を生み出すものです。スマートシティでは、道路上のセンサーから集めた交通データをリアルタイムで分析し、交通渋滞を軽減するなどの都市問題解決に役立てています。また、ホームオートメーション(※)では、スマートスピーカーやセンサーを用いて家電を遠隔操作することで便利な生活空間を創り出しています。
※ホームオートメーション:住宅内のデバイスやシステムを自動化して遠隔で操作できるようにする技術のこと
データサイエンスとAI・IoT
人工知能(AI)とモノのインターネット(IoT)が長期的なビジネスの成長と進化を可能にし、新しい価値を創造するポテンシャルがあるということは言うまでもありません。
しかし、新しい価値を生み出すためには「データ」の役割が非常に重要です。具体的には、AIとIoTに欠かせない「データサイエンス技術」がデータを有効に活用するための鍵となります。
データサイエンスは、大量のデータから有益な情報を取り出すための手法です。AI・IoTの活用には、このデータ解析が欠かせません。
例えば、IoTデバイスから集まる大量のデータをAIが解析し、その結果を元により最適な動きができるようにしたり、結果を予測したりすることで様々な問題を未然に防ぎます。
また、データサイエンスはAIとIoTのプライバシーとセキュリティの問題にも対処します。データ加工と分析の過程で、プライバシー保護やデータセキュリティの維持に努め、データの取扱者と消費者の双方の信頼を獲得します。
このようにデータサイエンスは、AIとIoTが協働することで、最大の利益と価値の創出を可能にする橋渡しの役割を果たします。予測分析・セキュリティ・プライバシーに至るまで、データは新しいIT世界の生命線であり、その利用と解析がこれらのテクノロジーを成功に導くカギとなります。
サイバーセキュリティ:AIとIoTの防御
サイバーセキュリティは、AIとIoTがもたらす進歩とともに、ますます重要な課題となっています。多くの専門家が指摘しているように、AIとIoTの普及により、それぞれの技術に対するセキュリティ強化の必要性が高まっています。
AIは機械学習を活用し、これまでにない量のデータを処理し分析することが可能です。これにより、データやシステム等への侵入検知、不正な動きの検出などのサイバーセキュリティのニーズに対応することが可能となり、高度な防御システムの構築に貢献しています。AIを活用することで、今までは人間が行っていたセキュリティのチェックやパターンの見つけ方を高速化し、より正確に行うことが可能になります。
一方、IoTは物理的なデバイスをインターネットに接続し、データの取得や操作を可能にします。しかし、これは同時に新たなリスクを生むため、IoTデバイス自体やこれらのデバイスが接続するネットワークへのセキュリティ対策が必要となります。
そのため、AIとIoTの組み合わせはサイバーセキュリティの新たな課題ともいえます。これらの技術が進化し、世界が更にデジタル化するにつれ、サイバーセキュリティは更に進化する必要があります。AIの能力を活用して異常行動を検出し、IoTデバイスの安全を確保するための新たな戦略が求められています。
AIとIoTを活用したサイバーセキュリティは、ただ単に防御策を強化するだけでなく、攻撃の予防・検出・対策を一つにまとめた全体的な防御戦略を作ることに役立ちます。これにより、現代のデジタル世界は様々なリスクに対してより強固な防御策を持つことができるでしょう。
未来のIT業界:トレンドの予想
さて、今後のIT業界は、AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)の進化が大きく影響を与えることが予想されます。実際、これからどのような変化が起こるのでしょうか?
AIとIoTの進化の影響
AIとIoTの進化は社会やビジネス、日常生活に大きな変化をもたらすでしょう。自動運転車の普及、スマートシティの実現、遠隔医療の進化といった技術が中心となってライフスタイルを一変させる可能性があります。また、これらの技術は産業界だけでなく、教育や福祉などの社会全体に対する影響も大きいでしょう。
メタバース:新たなデジタル社会の形
近年話題となっている「メタバース」は、バーチャルな空間でリアルと同等またはそれ以上の社会活動が可能な新たなデジタル空間です。人々はオンライン上で仕事や学習をしたり、対話をしたりすることができます。メタバースは単なるエンターテイメントの要素だけでなく、ビジネスや教育、コミュニケーションなど、様々な分野に大きな影響を及ぼすと考えられています。
また、IoTやAIとの連携により、メタバースはより具体的でリアルな空間となります。AIや機械学習を活用することで、個々のユーザーに対応した体験の提供が可能になり、IoTによって集められたデータを用いてバーチャル世界とリアル世界の連携をより深めることも期待されています。
これから数十年の間に、身近な存在になるであろうメタバース。AIやIoTの進化と共に、これまでの社会の枠組みを超えた新たなデジタル社会が形成されることで、私たちの生活はさらに発展していくでしょう。その可能性は無限大で、まだまだ探求の余地のある分野と言えるでしょう。
デジタルトランスフォーメーション(DX)と次世代IT
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、テクノロジーを用いてビジネスや組織の運営を変革する取り組みです。AIやIoTなどの最先端テクノロジーが土台となり、組織の業績改善や新たなビジネスモデルの開発が進められます。DXは効率化だけではなく、これまでにない新しい価値創造を可能にします。
これからのIT業界は、技術の進歩と共に絶えず変化し続けます。そして私たちはその変化に合わせて最新のトレンドを把握し、柔軟に対応することが今後さらに求められます。
一部の先進企業では早くからDXを進め、その成果を上げていますが、全体としてはまだまだ初期段階です。2020年代はDXと次世代ITによってビジネスが大きく変化する「デジタルの時代」であり、その推進力となるDXおよび次世代ITへの理解と活用が企業の生き残りを分けることでしょう。
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まとめ
今回は近年耳にすることの多い、AIとIoTに注目して解説していきました。身近な存在となりつつあるAIやIoTの特徴をしっかりとおさえ、デジタル社会に対応できる人材を目指しましょう。
また、AIやIoTなどのデジタル知識や情報は日々発展・進化しているので常に更新されています。最新情報をいち早く入手し、AIや機械学習、ディープラーニングなどについて理解を深めたうえで、それらを実際に活用する術を身につけていきましょう。
AIやIoT等の知識や技術を身につけたい方はぜひ通信制大学やスクール等に通うことも検討してみてください。